リスクが多過ぎる、S/4HANAへのアップグレードSAPの2025年問題

ECC6からS/4HANAへのアップグレードが問題になっている。S/4HANAの導入には多くのリスクがあるという。2025年のECC6サポート終了を前に、企業はSAPシステムの意義を見つめ直す必要がある。

2018年10月18日 08時00分 公開
[Cliff SaranComputer Weekly]

 ディスカウントスーパーマーケットチェーンのLidlは、コストの上昇を理由に「SAP HANA」の導入中止を決めた。これは「SAP S/4HANA」へのアップグレード問題を表す初期の兆候になるかもしれない。

 LidlがSAPの利用を中止する理由はほとんど明かにされていない。だが小売業者のプロジェクトに関するレポートによると、コストの高騰がきっかけだとされている。

 英Computer WeeklyがSAPプロジェクトは失敗するのではないかと考え始めたのは1990年代後半のことだ。その要因の一つが導入コストだった。問題だと感じたのはSAPの販売形式だ。同社は世界有数の企業のビジネスプロセスをカプセル化し、それをパッケージ化したビジネスプロセスのセットとして販売した。だがSAPを導入しようとする企業の多くが利用するビジネスプロセスは、このパッケージと一致しなかった。そのため多くの場合カスタマイズが必要になった。

 「SAPのカスタマイズは避けるべきだ」というのが、20年以上にわたる専門家の一致した意見だ。カスタマイズすればコストと複雑さが急増する。これは1990代に初めて「SAP R/3」を導入した当時も、これからS/4HANAを導入する場合も変わらない。

 2025年、SAPは「ECC6」のサポートを正式に終了する予定だ。ECC6は同社のコアERP Central Componentだ。SAPの立場としては、S/4HANAを導入するまで猶予期間を6年弱も設けたという。

 20年にわたってSAPシステムを導入、運用している企業が既存のSAPカスタムコードをS/4HANA向けに開発し直す方法を決めるのは難しい。




続きを読むには、[続きを読む]ボタンを押して
会員登録あるいはログインしてください。






Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news175.png

製造業の8割が既存顧客深耕に注力 最もリソースを割いている施策は?
ラクスは、製造業の営業・マーケティング担当者500人を対象に、新規開拓や既存深耕におけ...

news105.jpg

「生成AIで作った広告」が物議 そのとき、コカ・コーラはどう動いた?
生成AIを広告制作に活用し、議論を呼んだCoca-Cola。この経験から何を学んだのか。

news028.jpg

新規顧客獲得と既存顧客のLTV向上、それぞれのCRO(コンバージョン率最適化)について
連載第4回の今回は、新規顧客の獲得と既存顧客のLTV(顧客生涯価値)、それぞれのCRO(コ...