ECC6からS/4HANAへのアップグレードが問題になっている。S/4HANAの導入には多くのリスクがあるという。2025年のECC6サポート終了を前に、企業はSAPシステムの意義を見つめ直す必要がある。
ディスカウントスーパーマーケットチェーンのLidlは、コストの上昇を理由に「SAP HANA」の導入中止を決めた。これは「SAP S/4HANA」へのアップグレード問題を表す初期の兆候になるかもしれない。
LidlがSAPの利用を中止する理由はほとんど明かにされていない。だが小売業者のプロジェクトに関するレポートによると、コストの高騰がきっかけだとされている。
英Computer WeeklyがSAPプロジェクトは失敗するのではないかと考え始めたのは1990年代後半のことだ。その要因の一つが導入コストだった。問題だと感じたのはSAPの販売形式だ。同社は世界有数の企業のビジネスプロセスをカプセル化し、それをパッケージ化したビジネスプロセスのセットとして販売した。だがSAPを導入しようとする企業の多くが利用するビジネスプロセスは、このパッケージと一致しなかった。そのため多くの場合カスタマイズが必要になった。
「SAPのカスタマイズは避けるべきだ」というのが、20年以上にわたる専門家の一致した意見だ。カスタマイズすればコストと複雑さが急増する。これは1990代に初めて「SAP R/3」を導入した当時も、これからS/4HANAを導入する場合も変わらない。
2025年、SAPは「ECC6」のサポートを正式に終了する予定だ。ECC6は同社のコアERP Central Componentだ。SAPの立場としては、S/4HANAを導入するまで猶予期間を6年弱も設けたという。
20年にわたってSAPシステムを導入、運用している企業が既存のSAPカスタムコードをS/4HANA向けに開発し直す方法を決めるのは難しい。
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