ユーザー企業の「S/4HANA」への移行を進めるSAPは、2019年に経営陣を刷新した。同社の課題と、経営陣の刷新が何を意味するのかについて考察する。
「SAPが進めた大規模な組織再編は、大企業では一般的な経営措置だ」。ITコンサルティング会社Enterprise Applications Consultingの創設者兼社長を務めるジョシュア・グリーンバウム氏はこう話す。ただしSAPが再編に踏み切った時期は、同社にとって非常に重要な時期でもあった。
グリーンバウム氏の考えでは、SAPは自社が提供するさまざまな製品とサービスを統合する必要があるという。例えば同社の会計アプリケーション「SAP S/4HANA Finance」やクラウド形式の人事アプリケーション「SAP SuccessFactors」などを統合することが必要だ。そうしなければ、人事と財務に関する機能を兼ね備えた製品を提供する、新興のERP(統合業務)パッケージベンダーに自社製品のユーザー企業を奪われる恐れがある。
組織再編中であることが、SAPにとって「大きな障害になる」とグリーンバウム氏は話す。現在、新興ERPベンダーのWorkdayが市場でクラウド形式の人事財務アプリケーションの普及を推し進めており、「SAPにはその対抗策が必要だ」と同氏は主張する。
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