エンタープライズNASのパフォーマンス問題と解決法なぜパフォーマンスが出ないのか?

NASの運用で必ず生じる、パフォーマンスに関する問題。想定していた速度が出ない、速度が低下してきたといった問題は何が原因なのか。その解決方法を紹介する。

2016年11月24日 08時00分 公開
[Jim BahnComputer Weekly]
Computer Weekly

 データベースや仮想デスクトップインフラストラクチャ(VDI)など、システム全体のパフォーマンスの影響を強く受けるアプリケーションで構成されるワークロードをサポートするに当たって、VMware、NetApp、Dell EMC、Microsoftなどの企業は皆、ネットワークファイルシステム(NFS)ベースのストレージシステムを支持している。

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 しかしNASのユーザーは、NFS経由のファイルアクセス型ストレージに限って発生する懸案事項に直面している。そのために一部の重要なユースケースでは、このストレージの利用が進んでいない。以下に具体的な課題を挙げる。

メタデータがボトルネックに

 NFS固有の問題として、メタデータに関するものがある。スケールアウトしたNAS環境では、クラスタノード間で通信のボトルネックが発生する。クラスタ内のファイルアクセスは、メタデータコマンドを使って操作しなければならないからだ。NFSでも他のファイルシステムと同様に、メタデータを使って各ファイルの情報を追跡する。このメタデータは、ファイルの作成日や更新日といった基本的なものから、データを作成しアクセスの許可を求めている装置のシリアル番号といった複雑な情報まで多岐にわたる。本番環境で稼働しているNFSでは、入出力(I/O)コマンドストリーム内の実に90%をメタデータが占めていることもある。従って、NASをスケーリングしてその装置本来の性能を発揮させるためには、メタデータの問題を早期に検出することが重要になる。

厄介なクライアントと「口やかましいご近所」問題

 パフォーマンスについてよく聞く不満は、ネットワークのロックマネジャーがファイルロックを掛けっぱなしにしてしまい、その結果アプリケーションの処理速度が低下したり、極端な場合は処理が停止したりするというものだ。重要なファイルロックを保持して他のアプリケーションプロセスを実行できなくさせる、「厄介なクライアント」の存在を示す情報に注意を払うことが大切だ。

 衝突が起こりがちな領域はまだ他にもある。「口やかましいご近所」問題だ。ストレージの文脈で「口やかましいご近所」というと、ストレージのI/Oリソースを定期的に独占して同じ環境にある他の仮想マシン(VM)のパフォーマンスを阻害する、はた迷惑なVMを指す。ホスト1台当たりのVMの密度が高まってきたことに伴い、この現象はさらに拡大する可能性がある。こうした状況を適切にモニタリングしない限り、パフォーマンスの正確な予測は不可能だ。

サーバやVMのレイテンシ問題

 ストレージのパフォーマンス低下は、一般的にI/Oレイテンシが高くなった結果発生する。ホストからファイルに至る各フローについて、VMからファイルシステムまでのレイテンシをモニタリングすることが重要だ。また、アプリケーションが極度に集中するのは、プロトコルの(制御の)せいだということを忘れないでほしい。従って、5分間の平均値を報告してくるユーザーはほぼ毎回、重要なイベントを見逃していることになる。また、ロードバランシング(負荷分散)の失敗から問題が発生することも少なくない。この問題はモニタリングを注意深く実行していれば、容易に防止できる。

書き込み時のパフォーマンス低下

 NFSをマウントしたファイルシステムに、サイズの大きい連続したファイルを書き込むと、NFSサーバへのファイル転送レートが大幅に低下する。

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