2016年米大統領選挙の予想外の結果は、携帯電話しか持たない世帯が主流になった時代における世論調査の在り方に多くの疑問を投げ掛けた。
世論調査機関はどうすれば、今後の米国での選挙予測を改善できるのか。ハーバード大学の政治家学者ギャリー・キング氏によれば、その問いには2つの答えがあるという。
1つは「それほどの接戦にならないよう、ただ願うこと。それならずっと簡単に済む」。念のためにいうとキング氏はハーバード大学定量的社会科学研究所の所長でもある。
もう1つの答えとして、キング氏は現在の世論調査の根本的な問題、すなわち携帯電話使用の台頭によって、かつてのような世論調査ができなくなった問題を解決する必要性を挙げる。
11月の米大統領選挙で共和党のドナルド・トランプ氏が勝利すると予測した世論調査はほとんど皆無だった。同氏が勝利する確率は「The New York Times」によれば15%、「Huffington Post」の予測ではわずか2%だった。だが翌日、トランプ氏は大統領を選ぶ選挙人の過半数の票を獲得し、民主党のヒラリー・クリントン氏に勝利した。そして世論調査機関は、長年実績を出してきた手法の有効性に疑問を突き付けられた。
その1つは無作為抽出だった。これは大多数のグループを観察する目的で、その大多数の中から調査対象とする代表グループを選び出す統計調査の手法だ。
「無作為抽出は場当たり的な抽出ではない。それは無作為(random)という単語の普通の用法ではない。これは1つを選び出す場合、他の全てに全く同じ確率で選ばれる可能性があることを意味する」(キング氏)
そこで選挙結果の予測に当たっては、調査機関は投票に行くと思われる相手を見つけ、その相手にどう投票するかを尋ねる。何年も前、携帯電話が普及する以前はそれが可能だった。調査機関は調査対象者の自宅に電話するか、一覧表から選んで電話をかければ済んでいた。
だが今や、事はそれほど簡単ではなくなった。2015年の米疾病対策センターの調査では、携帯電話しか持たない世帯は半数近くに上った。
「相手を見つけても90%の確率で、『そんな話のために携帯電話の通話時間を使う気はない』と言って切られてしまう」とキング氏は話す。
また人々は携帯電話に着信があると画面で相手の電話番号を確認し、知らない番号だった場合は電話に出ないようになった。知らない電話番号から自分の投票行動について知りたいと思って掛けてくる電話は、かなりの確率で無視された。勝敗を左右する州では特にそうだ。
「私は世論調査には1度も回答しなかった」。共和党と民主党が激戦を展開したバージニア州の予測分析機関Elder Researchの創業者、ジョン・エルダー氏はそう話す(同州はクリントン氏が50%近い得票で制した)。
そうした雰囲気の中で世論調査機関は、例えば前回の選挙で投票した有権者など、特定の層に狙いを定める。「そして無作為ではなく、そのグループのような層を見つけようとする」(キング氏)。
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