ARM HoldingsのシガースCEOに聞くIoT戦略、そしてARMの強さの秘訣キーパーソンインタビュー

ソフトバンクによる買収を受け入れたシガース氏に、ARMの戦略を聞いた。大きく伸びているIoTへの取り組み、そしてソフトバンクによる買収による影響とは?

2017年01月30日 08時00分 公開
[Lis EvenstadComputer Weekly]
Computer Weekly

 英国IT業界で最も大きな影響力を発揮した個人に贈られる賞「UKtech50」の2016年度受賞者サイモン・シガース氏にとって、2016年は多忙な年だった。チップメーカーARMの持ち株会社であるARM HoldingsのCEOを務めるシガース氏は、モノのインターネット(IoT)セキュリティ部門の拡大など、一連の改革の指揮を執り、ブレグジット(英国のEU離脱)対応にも取り組んだ。しかし特筆すべきなのは、日本のハイテク企業ソフトバンクグループによる買収を受け入れ、同グループに加わる決断を下したことだ。

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 同氏は2013年、前任のウォーレン・イースト氏がARM Holdingsを去ったことで同社のCEOに就任。スマートフォン時代の到来が追い風になり、同社は大きく成長した。同社はここ3年ほど急成長を続けているが、2016年の成長の要因になったのはIoT分野が空前の伸びを見せたことだ。

 増加中の「コネクテッドデバイス」の事業を進めるには、真の経営手腕が要求される。2016年10月、ARMは日本の産業用チップメーカーAdvantechと提携し、IoTシステムの展開を加速させた。

 ARMのIoTデバイスプラットフォーム「mbed」は、エンドツーエンドの管理ソリューションとして活用されることを目指している。複数のOS、クラウド、開発エコシステムをカバーするとともに、IoTの大規模な開発の安全な管理をできるだけ楽に進められるよう設計されている。

 「IoTデバイスの用途は限りなく広い」とシガース氏は話す。「コネクテッドデバイスは、産業界でも人々の日常生活の中でも急激に普及している。だからこのデバイスを適切に管理することが、今後ますます重要になる」

 2016年10月に発生した、DNSプロバイダーDynに対する分散型サービス拒否(DDoS)攻撃は、その必要性を痛感させるものだったとシガース氏は付け加える。攻撃は過去最大級のもので、アンダーグラウンドなフォーラムで公開された、IoTデバイスを狙うマルウェアコード「Mirai」が使われていた。攻撃者はIoTデバイスのセキュリティが総体的に甘いところに着目し、出荷時設定のままで利用されていたり、静的なユーザー名やパスワードが設定されていたりするデバイスを攻撃した。

 ルーター、防犯カメラ、DVR(デジタルビデオレコーダー)など多数のデバイスが相互接続で1つにまとまっていることを利用したのだろうと、シガース氏は推察する。

 「これからもっと怖い世界になるかもしれない」と同氏は語る。「業務用、一般家庭用を問わず、コネクテッドデバイスは全て攻撃される恐れがあるが、被害は何としても避けたい。あの(Dynへの)攻撃を見てくれ。対象にされたデバイスのセキュリティはひどいものだった」

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