破産した英HMVが断行したITコスト削減何を捨て、何を導入したのか

2013年に破産申請した英HMVは今、経営コストを削減して再建中だ。コスト削減の手はITにもおよび、大規模なシステム刷新につながった。コスト削減のために彼らが捨て、新たに導入した製品とは?

2017年05月12日 08時00分 公開
[Caroline DonnellyComputer Weekly]
Computer Weekly

 大手音楽ソフト販売会社の英HMVが大規模なデジタル化とITインフラの刷新に悪戦苦闘している。目指すのはコスト削減の加速と、ビジネスの将来保証だ。

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 同社は、2013年1月に破産申請を行っている。これが2013年4月の企業再生会社Hilco CapitalによるHMVの買収につながっている。以降、Hilco CapitalはHMVの一部店舗のリース再交渉を行ったり、場合によっては店舗の規模を縮小したりと、HMVの経営コスト削減の道を探っている。

 併せて、Amazonなどのネット専門小売企業の脅威を確実に打ち破るべく、IT投資計画の策定に乗り出している。この投資計画の目標には、同社の古いオンプレミスITシステムの総管理コスト削減も掲げられている。

 この取り組みの中で、HMVは中核を成す多くのサービスをサードパーティーのデータセンタープロバイダーに外部委託する。ポイントカードの枠組み、HRシステム、デスクトップサービスなどがその例だ。これにより、ハイブリッドクラウド採用の下地が整った。

 HMVは、Citrix Systemsの仮想デスクトップインフラ「XenDesktop 7.6」も導入する。HMVによれば、XenDesktop 7.6を利用すれば多くのオンプレミスハードウェアを仮想化でき、50台あった同社のサーバ資産が6台に削減されるという。

 また、IBMのPOSレジシステム「IBM 4690」に代えて、Worldpayベースの暗号化対応サービスを導入した。

 HMVのサービス配信マネジャーを務めるデレク・ウォークレート氏は、この投資計画はパフォーマンスと効率全体を改善するテクノロジーに投資する同社の姿勢を裏付けていると主張する。

 「当社のIT投資は、サポートが終了した、管理コストの高い旧式機器を置き換えて、本腰を据えてビジネスを後押ししようとしていることの表れだ。当社は、クラウドソリューションの採用をコスト削減の機会として捉えようとしている」(ウォークレート氏)

 「新しいITサービスを導入すると、新しいCitrixファームとサーバ仮想化が実現するだけでなく、寿命を迎えた機器を排除できる。こうした旧式の機器は管理コストが非常に高くつく。つまり、最新かつ高速のテクノロジーを利用できる上、コストの削減につながる」

デスクトップ変革

 XenDesktop 7.6を導入したことで、ソフトウェアの互換性の理由からシンクライアントを交換する必要が生じた。

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