「特別なソフトウェアは要らない」──GAME Digitalの顧客データ活用の極意顧客データ活用事例

ゲーム関連企業のGAME Digitalは、徹底した顧客データ収集と活用によって、さまざまな経営指標を向上させている。しかし、「われわれは特別なソフトウェアを使っているわけではない」という。

2017年06月01日 08時00分 公開
[Clare McDonaldComputer Weekly]
Computer Weekly

 GAME Digital(以下「GAME」)は英国に本社を置くビデオゲーム企業で、1991年からゲーム用の媒体や機器を販売している。

Computer Weekly日本語版 5月24日号無料ダウンロード

本記事は、プレミアムコンテンツ「Computer Weekly日本語版 5月24日号」(PDF)掲載記事の抄訳版です。本記事の全文は、同プレミアムコンテンツで読むことができます。

なお、同コンテンツのEPUB版およびKindle(MOBI)版も提供しています。

ボタンボタン

 ただし、昨今のコンシューマー(一般消費者)市場はすっかり様変わりした。コンシューマーはより気まぐれになり、実店舗、オンライン、モバイルなど、あらゆるチャネルにおいて自分のためにパーソナル化された体験を期待するようになった。

 同社のグループインサイト(知見)担当ディレクター、フレッド・プレゴ氏が、eコマース業者向けのカンファレンス「Internet Retailing Expo」(2017年3月、開催地:英国マーストン・グリーン)において、本誌Computer Weeklyのインタビューに応じた。プレゴ氏が4年前に入社したのを機に、同社は顧客のデータを収集し始め、店舗を今どきの訪問客向けにするのに利用しているという。

 「当社は、より魅力的で収益性の高い顧客体験を実現する手段として、データを活用してきた」と同氏は説明する。「われわれは、ビジネスの基盤となる部分に知見を取り入れている」

 この変革は、GAMEが「報酬」アプリの配布を開始したことから始まった。顧客は、従来のポイントカードではなく、各自のスマートフォンにこのアプリをインストールしてGAMEの店舗でロイヤリティー(顧客忠誠度)ポイントをためられるようになった。

 ただし店舗のPOSレジでポイントカードを読み書きする代わりに顧客のスマートフォンをスキャンする程度の変化では、これまでと変わらないのも同然。これでは店舗の魅力が増すほどではなく、来店客を増やすことに必ずしもつながらないことはプレゴ氏も認めている。

 そこでGAMEはロイヤリティーアプリを刷新し、集めたポイントに応じて功績を認定する仕掛け、すなわち「表彰」を行うゲーミフィケーション要素をアプリに組み込んだ。「表彰」は、顧客がビデオゲームをプレイする間に行われるものと似ている。これにより、顧客の行動は変わり、報酬を集めようとするようになった。

 表彰を取り入れたことで、アプリからブランドにアクセスして何らかの操作を実行する顧客数と頻度の両方が増加した。加えて、GAMEの店舗の来客数と、来店1回当たりの売上額も増えた。

 その後、GAMEのアプリにスキャン機能が導入された。これによって顧客はどの店舗でも好きなゲームをスキャンして、タイトルを基にその予告編を見たり、ゲームの詳細情報を参照したり、価格を比較したりすることができる。また、GAMEブランドのロイヤリティーポイント数に応じて、パーソナル化した価格を提示するようになった。

 「われわれは、収集したデータを使用して、顧客がスキャンを実行した際に各自の体験をパーソナル化している」とプレゴ氏は語る。今や数十万人の顧客が、このスキャン機能を利用しているという。

 「われわれがアプリで伝えようとしているメッセージは、『他店で買うのではなく、当店にまたお越しください』ということだ」とプレゴ氏は話す。

顧客データの収集

 その後、店頭でアプリを使う場合に限定して、拡張現実(AR)も組み込まれた。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

隴�スー騾ケツ€郢晏ク厥。郢ァ�、郢晏現�ス郢晢スシ郢昜サ」�ス

製品資料 テンスピン・マネジメント・コンサルタンツ合同会社

グローバル環境でのデータ統合と業務効率化を、スモールスタートで実現するには

グローバル競争力の強化において、データ活用は不可欠である。しかし、多くの企業が「情報の分断」「手作業の処理への依存」により、効率的なデータ統合と可視化を実現できずにいる。本資料では、この課題を解決した2社の事例を紹介する。

市場調査・トレンド テンスピン・マネジメント・コンサルタンツ合同会社

データドリブン経営を加速、グローバルデータを統合させるデータ環境の作り方

データドリブン経営で重要になる“データの可視化”だが、拠点ごとのデータ収集に時間と手間がかかり、データの整合性を確保することが困難になっているグローバル企業は多い。本資料ではこのような課題を解決に導くアプローチを解説する。

市場調査・トレンド 日本ヒューレット・パッカード合同会社

企業が保有するデータの約90%が非構造化データ、ここから価値を引き出すには?

AIの普及や発展によって、企業が保有するデータの量は膨れ上がっている。その約90%は非構造化データだ。そのため、AIと分析のワークロードをより有効なものにする上では、非構造化データの扱いが非常に重要となる。

製品資料 株式会社ジャストシステム

Excelやスプレッドシートのデータ管理から脱却、社内情報を一元化するメリット

Excelやスプレッドシートを用いて社内のデータを管理している企業は少なくない。しかし、それにより、データの閲覧や管理、共有などにおいて問題が発生している企業も多い。データ活用を加速するためには、どのような体制が有効なのか。

市場調査・トレンド 日本ヒューレット・パッカード合同会社

データの分散を克服して価値を最大化、AI対応のデータ基盤の必要性と構築方法

ビジネスの成果を挙げるためにデータ活用の取り組みが進む一方、分散するデータが足かせとなり、データの価値を引き出せていないケースも多い。その解決策となるAI対応のデータ基盤を構築する方法について解説する。

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ITmedia マーケティング新着記事

news017.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...