多くのベンダーが、拡張性の高いオブジェクトレベルのストレージ製品を提供している。これらの製品はファイルインタフェースを備えることで、NASに代わる選択肢として手軽に利用できるようになってきた。
NASファイルサーバは過去25年間にわたり、非構造型データ(古典的なデータベース形式に収まらないデータ)を保存するための伝統的な手段だった。非構造型データとはいうものの、これは内部に構造を持たないデータを意味するわけではなく、ファイルが基本的にバイナリオブジェクトだというにすぎない。オブジェクトストアは伝統的なファイルサーバに代わる方式として普及が拡大しており、多くのベンダーがオブジェクトレベルのストレージでありながら、ファイルベースのインタフェースを通じてデータにアクセスする製品を提供している。
本記事では、非構造型データを保存する方法としてオブジェクトレベルのストレージとファイル方式を組み合わせた手法の長所と短所を論じるとともに、この手法を採用した製品を検討している企業のIT部門にはどんな選択肢があるのか検討する。
NASは、IT業界において異なる方面から登場した2つの技術を利用する。NFS(Network File System)とSMB(Server Message Block)だ。Sun Microsystemsが開発したNFSは、非Windowsのネットワーク上でファイルコンテンツにアクセスするための標準プロトコルとなっている。SMB(以前は「CIFS:Common Internet File System」と呼ばれていた)は、Microsoftプラットフォーム用のファイルプロトコルだ。両技術ともその登場以来、急速な進化を遂げ、パフォーマンスと拡張性の向上を通じて単純なファイル共有にとどまらない高度な機能を提供するようになった。
伝統的なNAS技術は、ハードウェア障害時にデータを復元するための保護メカニズムとしてRAIDを用いる。ベンダー各社のNAS製品の多くはデュアルコントローラーアーキテクチャをベースとし、スケールアウト機能を備えるものもある。ファイルシステムは物理ストレージメディア上に構築し、NFSまたはSMBを使用するネットワークからこれらのファイルシステムにアクセスできる。
ファイルベースのNASとオブジェクトストレージは、同じタイプのデータ(ファイル階層内部あるいは外部の非構造型データ)に対応できる。両方式ともスケールアウトアーキテクチャを備えるため、何十億個とまではいかなくても何百万個ものオブジェクトを保存できる。
データストレージの手段としてファイルシステムを利用するのは、使い勝手の面で以下のような問題を伴う。
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