「オブジェクトストレージ」主要製品の詳細過ぎる特性分析大容量と拡張性は当然(1/3 ページ)

オブジェクトストレージシステムは複数のベンダーが発売しているが、その特徴を把握することは難しい。本稿はその助けとなるべくアクセス方法やデータセキュリティ、導入オプションなどについて解説する。

2017年10月24日 09時00分 公開
[Scott D. LoweTechTarget]

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画像 オブジェクトストレージを有効活用しよう

オブジェクトストレージとは、独自の特性を備えたストレージのことだ。そのように表現すると簡単に聞こえるが、オブジェクトストレージの主要ベンダーの製品を評価してみると、ぱっと見ただけでは把握できない複雑な要素があることが分かる。

 オブジェクトストレージのシステム基盤は各ベンダーでそれぞれ機能が大きく異なる。そのため特定の機能だけを見れば、あるシステムが他のシステムよりも適していることがある。さまざなまオプションを区別できるよう、本稿では、オブジェクトストレージ製品のアクセス手法、クラウドとの統合機能、導入オプション、データセキュリティについて調査した。

Caringo

 オブジェクトストレージソフトウェア開発企業Caringoの「Caringo Swarm」は、標準的なハードウェアで実行可能な統合オブジェクトストレージソフトウェアだ。同ソフトウェアは、スケーラビリティ(拡張性)と可用性の高いストレージリソースのプールを作成する。Swarmクラスタは、3台以上の標準ストレージサーバと1台の管理サーバから構成し、データ保護を実現する。

 ユーザーはサーバを別途購入してCaringo Swarmを実行することもできるし、ソフトウェアとハードウェアが最初から付属した製品を購入して同ソフトウェアを実行することも可能だ。管理サーバは仮想マシン(VM)として実行できる。管理サーバは、全体的な管理、ネットワークイメージの起動(ブート)、メタデータ(構成要素データ)の迅速な検索などクラスタ(大量のデータが整列された状態)の複雑なタスクを処理する。

 Caringo Swarmは、保存したデータを管理機能の設定によって暗号化する。データは公開鍵方式で暗号化される。この鍵はストレージ管理者が管理する。Caringoは、この鍵やデータへのアクセスは行わない。Caringo Swarmは複製と消失データ復旧のどちらの処理についても、オブジェクト単位での暗号化が可能だ。CaringoのSMBアクセス製品「FileFly」を使った場合は転送中のデータも暗号化できる。

 Caringo Swarmはファイル共有プロトコルとしてSMB(Server Message Block)とNFS(Network File System)を利用可能だ。 同社は、オンプレミスとクラウドを併せて利用するハイブリッドITが登場したことから、パブリッククラウドが重要になると考えているようだ。そのため、Caringo SwarmはMicrosoftの「Azure」Blob storage(Azure内のストレージ種類。ブロック単位でストレージ利用できる)やAmazonの「Amazon Web Services」(AWS)と直接統合できる。同社は、今後他のクラウドサービスもサポートする予定だ。

 同ソフトウェアの価格体系には無期限ライセンスと年間ライセンスがあり、1TB単位に設定される。

DataDirect Networks

 拡張ストレージを取り扱うDataDirect Networksはオブジェクトストレージの主要ベンダーの中でも大手といわれる。同社の「Web Object Scaler(以下、WOS)」は大規模な拡張に優れたストレージクラウドを構築できる。

 WOSは、Amazon Simple Storage Service(S3)、Swift、REST規約、Java言語、Python言語、C++言語の各プログラム言語に対する幅広いオブジェクト指向型のプロトコルと通信方法を提供する。また、クラウドデータ管理ソフトウェアを提供するCommvaultなどのツールとアプリケーションとの統合も実現する。さらに、「Lustre」(メタデータと実データを分けて管理するファイル管理方式)やIBMの「Spectrum Scale」(旧General Parallel File System、IBMが提供するオブジェクトファイル管理方式)をサポートする。WOSのストレージノードを地理的に分散すればデータ転送の遅延が少ないクラウド型ストレージを構築できる。

 WOSノードは自己完結型製品で、完全疎結合アーキテクチャが特徴だ。このWOSノードをネットワークで結んでグループ化(クラスタ化)する。各ノードはさらにゾーンというグループに含まれる。ゾーンは、データセンター内の論理編成にすることも、地理的に離れた場所に分散させることもできる。こうしたゾーンを活用することでさまざまなデータ保護ポリシーをノード全体に適用できるようになる。例えばAmazon S3のクラウドストレージを、拡張性やパフォーマンスに対するユーザーの要件に応じてWOSノードの一部として使うことができる。もしくは個別のゲートウェイとしても導入することができる。

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