CIOが知っておくべき市場動向
マッキンゼー流ビジネスAIの進め方、「必要なのは二刀流プレイヤー」
人工知能(AI)が人々の生活をどのように変えていくかという議論が盛んだ。人の代わりに車を運転したり、仕事をしたりするかもしれない。一方で、企業向けAIはどのように企業活動を変えていくのだろうか。
2017年、McKinsey & Companyは3000人の幹部職員を対象に企業向けAIに関する調査を実施した。この調査によると、中核事業にAIを導入している企業や、AIを大規模に導入している企業はわずか数パーセントにすぎなかった。大半の回答(80%)が、AIの導入を検討中か、試行中だった。検討中にせよ試行中にせよ、企業はAIのユースケースや、AIへの投資から価値を得るために必要な人材とテクノロジーを依然模索している状態だ。
McKinsey Global Instituteのパートナーで、主任研究員を務めるマイケル・チュイ氏は、経営幹部のAIプロジェクトへの取り組みを、「上っ面をなでているだけ」と表現している。企業向けAIを成功に導くには、真剣に全力で取り組む姿勢が必要になる。
『Strata Data Conference』のプレゼンテーションでチュイ氏は「企業に大きな変化をもたらすには、実際の取り組みが必要だと考えている」と語った。
企業向けAIを進展させるCIOの役割
CIOは何もしないで傍観していてはいけない。チュイ氏によれば、「成果の規模と実現の難易度」の両方を基に、将来性のある分野や企業が優先すべき分野を把握すれば、企業向けAIの土台を築くことができるという。分かりきった忠告のように思えるかもしれないが、「実際に行動に移している企業は少ない。多くの企業は、来社したセールスマンが薦めるサービスを購入しているだけだ」とチュイ氏は述べる。
CIOはデジタル化への取り組みを進化させ続けることができる。チュイ氏は次のように話す。「導入された技術資産を見ると、実際に最もデジタル化を進めた企業が最もAIを活用できているのが分かる。別の言い方をすれば、近道はないということだ。AIへの取り組みを続けるなら、同時にデジタル化も進める必要がある」
データエコシステムを理解し、インフラをデジタル化し、トレーニングデータを蓄積し、データの取得を容易にすることが、企業向けAIの基盤になる。
AIを早期導入した企業は実験段階を終え、中核プロセスにAIを組み込み、企業全体にAIを広げる方法を見つけている。McKinsey & Companyの調査によると、企業向けAIにとっての最大の障壁は技術ではなく、人材と企業体質にあるとCIOは考えるべきだという。このことはAI以前の最先端テクノロジーと変わらない。
「素晴らしい洞察力と優れた予測能力を持ち合わせていても、企業の運用方法を変えなければ大きな変化をもたらすことはできない。つまり、二刀流のプレイヤーが必要になる」と同氏は述べ、技術的課題を解決すると同時に企業を前進させることのできる従業員の必要性に言及した。
AI市場の動向
チュイ氏のここまでアドバイスはよく耳にすることかもしれないが、AIテクノロジー導入に関する全てが通常のパターンに従っているわけではない。
通常と大きく異なるのは、AI市場の動向だ。新たに登場するテクノロジーは、ベンチャーキャピタルが新興企業に多額の投資をして主導権を握るのが一般的だ。だが、企業向けAI事業への投資は大手企業が主導権を握っている。実際、同社の調査によると、大手企業が自社のAI研究開発に投資している額は、ベンチャーキャピタルが新興企業に投資している額の3~4倍になるという。
「このような状況がテクノロジー開発の初期段階で起こると必ずしも考えているわけではない。ベンチャーキャピタルが小規模企業に出資し、その企業が大企業に成長することは多いと考えることも多い。ただ、そうした大企業になるまでには時間がかかる」(チュイ氏)
それでも、ベンチャーキャピタルにとってAI市場は資金流入の点から伸び率が非常に高い分野の1つだ。ベンチャーキャピタルは、少なくとも2016年には機械学習に大きく賭けていた。
チュイ氏は「Strata Data Conference」の聴衆に向けて、同氏が示すデータをうのみにしないよう忠告した。AIの場合、外部投資に分類するのは難しい投資もあり、内部投資はあまり報道されないので追跡が難しいためだ。
「だが、初期段階において大手企業が既に自社の研究開発部門に多くの投資をしていることは興味深い」(チュイ氏)
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