普通のユーザーには難しいが……
iPhone Xの顔認証「Face ID」が早くも突破 “予想よりずっと簡単”なその手口とは
「iPhone X」のリリースから1週間もたたないうちに、研究者が主要セキュリティ機能「Face ID」を突破することに成功した。その手段とは。
Appleの新型スマートフォン「iPhone X」が搭載する顔認識技術「Face ID」。ベトナムのセキュリティベンダーBkavの研究チームは、このFace IDを“だます”ことで、認証を突破する方法を発見した。
Bkavの研究チームは、3次元(3D)の立体物を印刷可能な「3Dプリンタ」を利用して顔型のマスクを製作し、iPhone Xのロックを解除できた。このマスクはシリコン製の鼻と、2次元(2D)の顔画像を組み合わせたものだ。Bkavによると、実験にかかった材料費はわずか150ドル足らずだったが、多大なノウハウを必要とした。
「セキュリティに関するある程度の知識がなければ、『正しい』マスクを作るのは相当難しい」。Bkavのグエン・クアン最高経営責任者(CEO)は、そう説明する。「われわれがAppleのAI技術をだますことができたのは、その仕組みと、かわし方を理解していたからだ」(クアン氏)
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Bkavの研究チームがFace IDの突破に挑戦し始めたのは、2017年11月3日にiPhone Xが発売された後だった。同社は発売から間もなく成功を収め、ベトナムの現地時間11月10日にその成果を発表した。
前述の通りノウハウは必要なものの、Face IDの突破自体は「何もかも予想よりずっと簡単だった」とクアン氏は語る。「Face IDは、ユーザーが顔の半分を隠していても機能した」と同氏は指摘した上で、次のように説明する。「AppleはFace IDのAI技術に依存し過ぎているように思える。マスクの制作に必要だったのは顔の半分だけだった。われわれ自身が思っていたよりもずっと簡単だった」
Bkavが顔認識破りを成功させたのは、今回が初めてではない。2008年にはノートPCの顔認識におけるセキュリティの脆弱(ぜいじゃく)性を実証した。
「つまり、ほぼ10年を経ても、顔認識はコンピュータやスマートフォンのセキュリティを十分保証できるほどには成熟していない」。Bkavの研究チームはこの実験に関する報告書の中でそう指摘し、生体を使ったセキュリティ対策では指紋認証が最善の選択肢だと言い添えた。
Bkavによれば、Face IDのセキュリティ問題について誰もが不安に思う必要はないという。「狙われる恐れがあるのは一般ユーザーではなさそうだ」と同社は指摘。億万長者や大手企業の経営者、国家の指導者、米連邦捜査局(FBI)の捜査員などは、Face IDの問題を認識しておく必要があると主張する。「競合相手のセキュリティ部門、企業の商業ライバル、さらには国家でさえも、われわれのPoC(コンセプト実証)の恩恵を受ける可能性がある」(同社)
BkavのPoCは、暗号化とiPhoneのロックを巡る捜査当局とAppleとの対立にも影響を及ぼす可能性がある。2015年に米カリフォルニア州サンバーナディーノで起きた銃撃事件は、Appleが容疑者のiPhoneのロック解除に応じなかったことで有名だ。FBIはiPhoneのコンテンツを捜査する目的でAppleにロック解除を命じたが、Appleがこれを拒んだことから論争に火が付き、捜査当局が暗号をすり抜けるためのバックドア(裏口)を巡る論議は今も続く。だが、もしも捜査当局がBkavのPoCの成果をうまく通用させることができれば、この論議に実質的な影響を及ぼす可能性もある。
「悪用は普通のユーザーにとっては難しい。だがプロにとっては簡単だ」。Bkavはそう説明する。
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