2017年に締結されたIoT分野のM&A(合併と買収)契約数は前年同期比でわずかに増加している。だが、ドル総額で見ると大幅に減少した。そこから見えてくることとは?
2017年には本稿執筆時点(2017年12月6日、以下同じ)までに計106件のIoT(モノのインターネット)分野のM&A契約がまとめられており、2016年同期と比べると若干増になる。また、2017年のこれまでの契約数が、2010年から2014年の5年間における各年間契約数を上回っていることも注目に値する。
それ以上に重要なのは、2017年に10億ドルを超える契約が成立しなかったことだろう。2017年本稿執筆時点までに公開されている総契約額は39億ドル、2016年同期比で492億ドルの減少になっている。2016年同期には、ソフトバンクによるARM Holdingsの310億ドルでの買収や、Apollo Global ManagementによるADTの70億ドルでの買収などが行われた。とはいえ、この2つの大型契約を除いたとしても、2017年の総額が2016年の記録に近づくことはない。
ただし、本稿執筆時点で契約額が10億ドルを上回る契約が幾つか保留状態になっている。例えば、QualcommによるNXP Semiconductorsの380億ドルでの買収や、ItronによるSilver Spring Networksの8億3000万ドルでの買収などだ。このQualcommとNXPの契約が2017年内に締結されていれば、ドル総額は2016年とほぼ同額になる。だが、規制当局の承認を受けるため、契約は2018年に持ち越される可能性がある。
2017年本稿執筆時点までの最大規模の契約は3つある。1つは、General Electric DigitalによるServiceMaxの9億1500万ドルでの買収だ。ServiceMaxはクラウドベースの資産追跡とフィールド管理を提供している。もう1つは、Sinotransによる、サプライチェーン管理と運送サービス企業China Merchants Logistics Holdingの買収が挙げられる。その契約額は8億1800万ドルだった。そして、3つ目はNokia Solutions&NetworksによるComptelの3億7000万ドルでの買収だ。同社はデータファブリックと高度IoT分析の企業だ。
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