Windowsコラム
「Windows 10 S」が「S Mode」に変わるかもしれない その理由は?
特に教育分野で注目された「Windows 10 S」だが「S Mode」としてその提供形式を変えるという。MicrosoftがS Modeで実現しようとすることは何だろうか?
2017年、Microsoftが「Windows 10 S」を発表した。その際、世間には疑問の声が湧き上がった。Windows 10 Sの「S」は恐らく「Microsoft Store」を意味する。このOSでは、Microsoft提供のアプリストアであるMicrosoft Storeのアプリのみ利用可能だ。これはWindows 10での安全性を高め、効率を上げることが目的だ。
企業はWindows 10 SによってWindowsの機能制限や統制を強化できる。Windows 10 SはOEM製品(メーカーが他社ブランドの製品を製造したもの)限定でのリリースになる。つまり、このOSをプリインストール(工場出荷時にインストール)したPCでしか利用できない。ポール・サロット氏は自身のブログで、Windows 10 Sの今後の変化について解説記事を書いた。端的に言えば、Windows 10 Sは単独の製品ではなくなり、Windows 10のさまざまな製品に「S Mode」が用意されるという。
併せて読みたいお勧め記事
Windows 10 Sとは何か?
各ベンダーが力を入れる「Windows 10 S」対応デバイス
Windows 10にSモードが用意される本当の意味
サロット氏は記事の中で「Windows 10一般消費者向けSKUの新しいロードマップ(Exclusive: New Windows 10 Consumer SKU Roadmap Revealed)」を示している。SKUとは製品の構成単位(Stock Keeping Unit)のことだ。SKUの全て、ハードウェアの必須要件がある。
MicrosoftはWindows 10 Sについて5つの「一般消費者向けSKU」を想定している。以下のリストと価格情報はサロット氏の記事からそのまま引用したものだ。
### Entryモデル
* Intel Atom/Celeron/Pentium
* 4GB以下のRAMと32GB以下のSSD
* 画面サイズ
1. (ノートPCの場合)14.1型以下
1. (2-in-1、タブレットの場合)11.6型以下
1. (液晶一体型PCの場合)17型以上
### Valueモデル
* Intel Atom/Celeron/Pentium
* 4GB以下のRAMと64GB以下のSSDまたは500GB以下のHDD
* 14.1型以下の画面サイズ
### Coreモデル
* Core +モデルおよびAdvancedモデル以下のハードウェア要件
### Core +モデル
* ハイエンド型のCPU
* 4GB以上のRAM
* (ノートPC、2-in-1、液晶一体型PCの場合)8GB以上のRAMと1080p以上の画面解像度
* (デスクトップPCの場合)8GB以上のRAMと2T(テラ)B以上のHDDまたはSSD
### Advancedモデル
* (任意の構成の場合)Intel Core i9もしくはAMD Ryzen Threadripper
* (任意のRAMを利用する場合)Intel Core i7、6コア以上
* (任意のコアを利用する場合)Intel Core i7、AMD FXシリーズ、AMD Ryzen7シリーズのいずれかと16GB以上のRAM
* (任意のプロセッサを利用する場合)4K以上の画面解像度、4K UHD-3840解像度を含む
各SKUの価格は、Advanced(101ドル)、Core +(86.66ドル)、Core(65.45ドル)、Value(45ドル)、Entry(25ドル)となっている。Windows 10 Sは廃止され、「Windows 10 S Mode」になる。基本となるSKUはなくなる予定だが、代わりにS Modeが用意される。
サロット氏はこの新しい体系が2018年4月2日に始まると報じている。5月1日にはWindows 10 Homeエディションの新バージョン「Windows 10 Home Advanced」を提供し、新しいSKUと価格設定はその日から有効になるという。
Windows 10 Sのこれまでの推移
サロット氏は記事の中で「Windows 10 Sの廃止とS Modeの関係」に触れ、Windows 10 Sのアップグレードについての情報を提供した。同氏はMicrosoftの統計を引用し、Windows 10 Sをそのまま使用し続けているユーザー数、完全版にアップグレードしたユーザー数、さらにはアップグレードまでの期間について示した。それによると、購入者の60%がWindows 10 Sをそのまま使用し、40%がWindows 10 Proにアップグレードしたという。アップグレードしたユーザーの60%は購入から24時間以内にこの切り替えをした。最初の週に切り替えをしなかったユーザーの83%は機能を制限したこのOSをそのまま使い続けている。
MicrosoftはS Modeでウイルス対策ソフトやセキュリティソフトを提供する予定だという。これがWindows 10から実装したセキュリティソフト「Windows Defender」のみを意味しているのか、サードパーティーが自社の製品をUWP(Windows 10用アプリ配布形式)で提供するのかはまだ明らかになっていない。厳密に管理されるWindows 10 Sにはこのようなソフトウェアは必要ないというMicrosoftのこれまでの立場を変えることになるため、この可能性は大きな騒ぎを巻き起こしている。この点について興味深く見守っていく予定だ。
本稿は、Windows 10 S Modeが「Windowsを完全に普及させる」ためのMicrosoftの戦略と捉えている。機能を制限したこのS Modeについては、仮想化イメージの自動構築、導入、メンテナンス、管理のサポート体制が充実しており、Microsoftの本気が伺える。S Modeが本格的に利用できるようになったとき、利用するユーザーが増えるのか、減るのか注意深く観察しなければならない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Windowsコラム
Windowsの情報はさまざまなところから発信されている。Microsoft以外にも関連フォーラムや業界のうわさなど無数の情報が飛び交っており、整理するのも大変だ。本連載ではコラム形式でWindowsの気になる情報をまとめた。情報収集に役立ててほしい。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[o9ソリューションズ・ジャパン株式会社] 「改正物流効率化法対策」徹底解説 総物流費を抑制するサプライチェーン戦略 -
製品資料
[o9ソリューションズ・ジャパン株式会社] 「サプライチェーン最適化」実践ガイド:効果的な意思決定を実現する秘訣とは? -
製品資料
[株式会社リンプレス] 非デジタル/IT人材を「自走するDX推進者」に変えるための育成ロードマップ -
市場調査・トレンド
[ワンアイルコンサルティング株式会社] AI時代の組織設計:「判断と責任」を人に残すための2つの原則とは? -
技術文書・技術解説
[ワンアイルコンサルティング株式会社] システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
1200万円のSaaS導入を回避 スギ薬局「運用費10万円」のAIエージェント構築術
-
2
「完璧な設計」なのに3000万円溶けた AWSの失敗事例から学ぶ3つの教訓
-
3
クラウド資格コレクターは評価されない? 年収1000万を分ける“OSの理解度”
-
4
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
5
「AIバブル」は崩壊するのか? 熱狂の後に来る“尻拭い”と4つの防衛策
-
6
高額な「AI PC」を一般従業員も使えたら? 費用のハードルを一気に下げる方法
-
7
LLMの「過学習」、正しく説明している文章はどれ?
-
8
「コピペ運用の限界」に直面するAI活用 7割超が“別画面”のまま使う理由は?
-
9
IT調達担当者が知るべき「IT機器 大インフレ時代の前向きな選択肢」
-
10
「RAGの利用」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
2
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
3
Windows PCとMacの選択制で生産性向上 LINEヤフーが実践する運用管理方法とは
-
4
DX/AI投資の壁を突破、現代の最高財務責任者が直面する課題と克服のヒント
-
5
「Google Workspace」活用事例34選、先進の生成AIによる組織変革の全貌
-
6
生成AIで文書活用を進めるには? 効率化と安全性をどう両立する
-
7
「人員を増やす」という選択肢はない 情シスが負の連鎖から抜け出すには?
-
8
「問題が深刻化しやすいプロジェクト管理」から脱却する方法とは?
-
9
Linuxのスキルを証明する“激推し”の認定資格はこれだ
-
10
NTTドコモが実践したクラウド統合監視 業務量2倍でも残業削減を実現できた理由
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー