企業のAI(人工知能)戦略は、効率性よりも成長に照準を合わせる必要があると、McKinseyのアナリスト、ジャック・バギン氏は言う。だが、この助言に耳を傾ける企業は少ないという。
企業にAIを導入する初期段階は、まず手が付けやすい部分から始めるというのが、昔ながらの常識だ。まず部分的なプロジェクトから着手して、繰り返し可能なプロセスを自動化し、効率性向上という成果を手にする。
だがそれは、AI導入に関する戦略を立てるに当たり、McKinseyのMcKinsey Global Institutディレクター、ジャック・バギン氏が助言している内容とは異なる。
「AIは効率よりも成長の方に主眼がある。周辺プロジェクトを狙ってはいけない。大胆になる必要がある。AIとは新しい物事について思考を巡らすことであり、周辺的な利用ではなく再発明をするということだ」。バギン氏は米マサチューセッツ工科大学(MIT)が主催したWebセミナーでそう語った。
同氏によると、現代のAIの最先端分野である自然言語処理と生成、コンピュータビジョン、先端ロボット工学は、一般的に、効率性とも、既存のプロセスの自動化ともあまり関係がない。こうした技術は、全く新しいプロセスを実現し、企業が現在の市場で競争力を高め、新市場への参入を助け、新製品の開発を主導できる潜在的可能性を秘めている。
バギン氏のアドバイスは、多くの企業が現在、AIでやっていることと相反する。ほとんどの企業は慎重な姿勢を取り、もしAIを導入するとしても、段階的な導入にとどめている。
米ダラスで3月に開かれたGartner Data and Analytics Conferenceで講演したアナリストのウィット・アンドルーズ氏によると、ほとんどの企業は現在、自分たちはAI導入の競争に出遅れたと思っているが、実際にはAIを使っている企業は比較的少なく、組織全体に行き渡らせている企業はさらに少ない。現時点で競合他社に後れを取るリスクは少ないことから、AIの採用についてはもっとじっくり取り組む必要があると、アンドルーズ氏はアドバイスする。
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