ITサービスの設計保守に用いるガイダンスの新版「ITIL 4」が公開される。本稿では企業のITサービスマネジメントにおける課題と、この新しいガイダンスの特徴について紹介する。
ITサービスの設計、提供、保守に広く採用されているフレームワーク「ITIL」(Information Technology Infrastructure Library)の新しいガイダンスの公開が2019年初頭に予定されている。これは「ITIL 4」に当たる。このITサービスマネジメント(ITSM)ライブラリにとっては2011年以来のメジャーアップデートだ。テクノロジーの年月で言えば2011年は遠い昔のことになる。ITIL 4では何が実現されるのだろうか。そしてそれは十分なものだろうか。
ITIL 4アップデートのリードアーキテクトを務めるアクシェイ・アナンド氏は、最近新しいガイダンスについてオンラインセミナーを開催した。同氏は、ITSMが現時点で直面している課題、こうした課題からもたらされる悪しき習慣、現バージョンのITILに対する批判を調査した。ITIL 4はこの全てに対処することを目指し、その方法が検討されている。
まず、ITIL 4調査チームが割り出した課題を見ていこう。
アナンド氏によると、Open Groupの「IT4IT」や「DevOps」のようなフレームワークや手法は特定の部門やチームの問題を解決するために設計されたものだが、こうしたフレームワークは誤って適用されているという。同氏は次のように話す。「これらのアプローチは『組織のあらゆる問題を解決する特効薬』として売り込まれることがある。そのため企業は、これらを用いることで企業全体の問題が解決されると期待しがちだ。しかし実際の関連資料には違ったことが書かれている。多くのフレームワークはそれぞれの欠点を認めており、対象とする課題の範囲を認識している。あらゆる問題に有効な特効薬など存在しないのだが、残念ながらそのメッセージは行方不明になっている」
バイモーダルは、不安定な時代におけるビジネス需要に対応する方法としてGartnerが大々的に宣伝したアプローチだが、厳しい糾弾を受けている。「バイモーダルは危険だと確信している。2つの速度だけでなく複数の速度を持つ、マルチモーダルIT組織についての議論を交わすべきだ」とアナンド氏は言う。
現状では、ITサービスではなくソフトウェア製品の開発に重点が置かれている。しかしそれを変える必要があるとアナンド氏は述べる。Uberは輸送サービスを、Netflixはエンターテインメントを提供する。このように、UberやNetflixのような企業でも、最終的に提供するのはサービスだと同氏は主張する。
「こうした企業は、顧客との関与、ブランド強化、顧客サポートの主な手段に製品を使用している。そのため、製品が重要な役割を果たすことは間違いない。だが、製品はサービスを提供するための仕組みだ」(アナンド氏)
前述のITSMの課題が一部の悪しき習慣を引き起こしている。同氏はこうした習慣を「アンチプラクティス」と呼んでいる。これには「ウオーターメロンSLA」、ITIL実装に対する「点結び」アプローチ、「終わりなき成熟度向上戦略」などがある。
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