DevOpsを推進するためには専門的で、広い知見を持つ人材が必要だ。専門スキルの人材が不足する中、企業は社外ではなく社内に目を向けてこの危機を乗り切ることを考えよう。
求職者数よりも求人数が上回る労働市場において、企業はIT部門の人材を確保する方法を見直す必要がある。
米国でのスキル不足の原因はさまざまだ。先進国での出生率の低下などの長期的な傾向と、H-1Bビザ(非移民就労ビザ)を持つ外国人労働者に対する連邦政府の取り締まりなどの短期的な動きがある。こうした要因に、Linuxコンテナなどの新たな考え方の急速な広がり、技術分野の新しいソフトウェアへの需要の高まりとデータの爆発的な増加、DevOpsを推進するノウハウの欠如が加わると、IT人材の全体的な不足が顕著になる。
「現在、米国史上最大のスキル不足を迎えている」と法人顧客に協力して人事と従業員満足度の改善に取り組む米コンサルティング会社E3 SolutionsのCEOドン・リーム氏は述べた。米国の失業率は4.4%だったが、同氏はこの数値を正社員の失業率と捉えている。それでも、590万人分もの仕事に空きがあるという。「企業は高い専門スキルを備えた人材を失う余裕はない」と同氏は話す。
企業はまず、DevOps推進者を育成するITスタッフを雇用しなければならない。つまり、最新ソフトウェアの開発とインフラの自動化技術を導入できる熟練プログラマーとIT運用担当者の両方を見つける必要がある。だがこうした人材を見つけるのは、ほぼ不可能に近い。シリコンバレーのあるサンフランシスコ湾岸部やニューヨークなどの沿岸部ではいくらか可能性はあるが。
例えば、米国労働統計局によれば米ミネソタ州ミネアポリスとセントポールの2017年6月IT分野労働者の失業率は1.6%だという。
ミネアポリスとセントポールの両都市に拠点を置き、物流ビジネス向けに通信ネットワークを運営する米企業SPS Commerceでテクノロジー運用ディレクターを務めるアンディ・ドメイアー氏は、優れた応募者が不足していることはあまりにも明白だという。
高いスキルを備えた労働者を社外に求めるのが難しいことから、同社は自社内でDevOps推進者を育成する社内トレーニングプログラムを開始した。同社は、知識を共有できるWebサイト、新しいプロジェクトに関するカンファレンスの報告会や更新、社外講演者による定期プレゼンテーションなどの場として、社内テクノロジーコミュニティーを設けた。
独自のテクノロジーカンファレンスも別に創設し、エンジニアが参加し必要な技術スキルを無駄なく標準的なレベルで習得する。DevOpsに不慣れな従業員にも一定水準のスキルが身に付く、とドメイヤー氏は語る。
グローバル教育ソフトウェアを販売する米企業Rosetta Stoneも同じような状況で、募集しているのはDevOpsのスキルを備えた人材に限っていると同社のDevOps責任者、ケビン・バーネット氏は述べる。
「当社には、私を含め、DevOps担当者が2人いる。だが、2人とも社内の別部門から移動してDevOpsの担当になった。もともと2人は製造部門の開発者だった」と同氏は話す。他にもDevOpsチームを作るため、同社では勤続年数の長い従業員に目を向けている。
「企業経験の豊富な人がいれば、話しやすい環境を作ることができる。DevOps担当者の話に耳を傾けてもらえなければ、変革を進めることはできないだろう」(バーネット氏)
DevOps担当の有力な候補者は、ソフトウェアの導入に関心があり、コマンドラインツールや自動化ツールの経験がある人だ。だが最も重要なスキルは、問題解決の能力と心構えである。
「AWS(Amazon Web Services)を好んで利用している人、社内ツールを作って同僚の生産性を高めようと考える人、ローカル開発環境をセットアップするプログラムを記述した人がいたら、まずはその人と話をすべきだ」(バーネット氏)
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