熟練の仮想サーバ管理者は、クラウドの登場に伴い、仮想サーバが主流ではなくなっていく現状を見据えるべきだ。先が見えなくなる前に、進路変更を検討してはどうだろう。
仮想化技術にこだわり、クラウドに目を向けようとしない仮想サーバ管理者に、同業者として物申す。今の仕事は、安泰ではない。一度世に出たクラウドの勢いは止められない。クラウドコンピューティングは、今や企業にすっかり定着している。仮想サーバ管理者は、今後の仕事をどう確保するかに目を向けるべきだ。
クラウドへの移行は、企業の大小を問わず、あらゆる規模で進んでいる。VMwareによる仮想化技術が初めて登場した際は、既存の価値観を破壊するような変化が起こった。クラウドとマイクロサービスの登場は、それに匹敵する新たな変化が、再び起きることを表している。
サーバ仮想化には、“統合”と“抽象化”という2つの段階がある。
世に出た当初、すなわち第1段階での仮想化の目標は、十分活用されていないハードウェアをもっと効率よく利用することだった。確保した全てのリソースがサーバで利用されることは、ほとんどない。仮想サーバの管理者は、こうした無駄なリソースを再利用し、企業のIT設備の浪費を大幅に減らしてきた。
第2段階では、仮想ディスクのライブマイグレーション(注1)や高可用性、フォールトトレランス(注2)など、高度な機能が開発された。こうした高度な仮想化機能は、複数のコンピュータで1つの物理ハードウェア要素を共有する際に生じる問題に対処する。自動化も登場し、サーバの導入は簡単で分かりやすい作業へと変わった。
※注1:動作中の仮想マシンを停止させることなく、別のサーバに移動させて処理を継続させる機能。
※注2:機器設計やシステム設計の概念の1つ。構成要素の一部が故障や停止に見舞われた場合、予備の系統に切り替えるなどの方法で、正常な機能を保つこと。
個人的には、こうした仮想化技術の導入は、数年前がピークだったと考えている。2017年は、第3段階へ移行する時期だ。仮想サーバの管理者がうまく立ち回るには、クラウドコンピューティングのキャリアパスへの転身が必要になる。
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