会計事務所のErnst & Young (EY)は、テクノロジー戦略に10億ドル投資することを発表した。最新技術を活用した企業向けサービスの提供に力を入れる理由と、その勝算とは。
Ernst & Young (EY)はデジタルディスラプション(デジタル時代の創造的破壊)を恐れていない。むしろ10億ドルという額を投じて、それをビジネスに取り入れようとしている。
4大会計事務所の1つであるEYは、英国ロンドンを拠点として世界150カ国以上に26万人の従業員を擁する。同社は2019〜2020年度期に、新しいテクノロジーソリューション、顧客サービス、イノベーション、EYのエコシステムへ10億ドルを投資することを発表した。
「EYがこのようなことに取り組む理由の根底に何があるのかは既にご存じだろう。世界はかつてないほどの速さで動いている。そうした変化に後れを取ってはならないという圧力を企業は強く感じている。テクノロジーに関しては特にそうだ」とジェフ・ウォン氏は語る。ウォン氏は2015年にグローバル最高変革責任者(CIO)としてEYに加わり、社内での新しいテクノロジー戦略の管理を数多く支援している。
EYに加わる前のウォン氏はベンチャーキャピタルに勤め、10年にわたってeBayの成長とイノベーションを見守ってきた。同氏は今回の投資が、新たな形でEYの存在を世に知らしめる機会になると見ている。しかしそれだけではない。EYが5年後や10年後に、どのような業界になって欲しいのかを明確にする機会になるとも考えている。
EYはそのルーツである会計だけでなく、テクノロジーを活用した企業向けサービスの分野にも食い込もうとしている。同社が求めるのは、この分野での競争力の獲得だ。この新しいサービスモデルでは、多くの場合EY自らが最初の顧客になる。
しかしウォン氏は「これだけの規模の投資をするのだから、その野心の向かう先がEY社内のみにとどまらないのは明らかだ。EYは、自社の課題が他社の直面している課題とも似ていることに気付いている」と語る。
このインタビュー連載の前編では、EYの10億ドルの投資先となる、3つのテクノロジー戦略であるデータ分析、人工知能(AI)技術、ブロックチェーンについてウォン氏が説明する。これらのテクノロジーを企業全体に応用して、テクノロジーの最前線に立つためにEYが取るべき方針についても明らかにする。
編集注:本稿のインタビューは抜粋です。
――EYはどのようなテクノロジー戦略に投資しようとしていますか。
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