AI技術の活用を一任されたCIOは、まずはAI分野で起きている最新の情報を知るよう努めるべきだ。そして、IT部門のスタッフにも情報収集に関して同様の習慣を身に付けさせる必要がある。
1日でAI(人工知能)技術を活用できる企業にはなれない。本稿では、IBM、Affectiva、Grant Thorntonなど、企業向けにAI技術関連のハードウェア、ソフトウェア、サービスを提供しているベンダーによるアドバイスを紹介する。
MIT(マサチューセッツ工科大学)が最近主催したイベント「AI and the Future of Work」で、AI技術関連のベンダーが、AI技術の活用に着手する方法について、最高情報責任者(CIO)達に向けてアドバイスした。そのアドバイスを参考にすると、最初のステップはAI分野で起きている最近の出来事をチェックすることだ。
「まず必要なのは、AI分野で何が起きているかを理解するために時間を使うこと」。会計関連のサービスを提供するGrant Thorntonのニコール・ジョーダン氏はこう話す。
ジョーダン氏は、CIO自身とそのCIOが率いるチームの日課に、AI技術を理解するための時間を組み入れる簡単な手法として、アメリカ人工知能学会の「AI Magazine」とO'Reilly Mediaの「AI Newsletter」を読むことを挙げた。「こうした日課は『大したことではない』ように思えるが、自社の未来に役立つAI技術に関連する議論を促すことができる」
AI技術の情報を得ることは、企業規模の大小にかかわらず役に立つ可能性があるとジョーダン氏は指摘する。「もはや、企業がAI技術を活用するプロジェクトに数百万ドルもかける必要はなくなっている」
例えば企業の合併・買収の際、企業の顧問は特許出願書や規制当局への提出書類などに関するさまざまなデータの検査、分析をする必要がある。現状、こうした種類の検査や分析をAIシステムが担うようになっている。企業文化や顧客の声、従業員エンゲージメントなどの指標となるデータを、米国の求人情報サイト「Glassdoor」などから収集するAIシステムもある。
「AI技術がより進化すれば、トレンドやパターンを抽出することが容易になる。いずれは企業買収の候補を提案するようにもなる。AI技術の活用では迅速さと正確さ、散在した膨大な量のデータ分析能力が役に立つ」(ジョーダン氏)
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