愛媛県西条市は「Microsoft Azure」を導入し、教職員の業務システムのクラウド化を実施。仮想デスクトップによるテレワーク環境を整備することで、業務改善やセキュリティ強化を実現した。
愛媛県西条市教育委員会は、クラウドサービス「Microsoft Azure」を導入し、教職員の業務に関わるシステム全体をクラウド環境に構築して運用している。同委員会が「教育クラウド」として教職員に提供するこのシステムは、教職員のテレワークを可能にし、業務改善やセキュリティ強化を促進する。以下では同市の教育クラウドに関する取り組みの概要や、今後の課題について紹介する。
西条市はAzureを使った仮想デスクトップインフラ(VDI)によるテレワーク環境を構築。2016年4月から、市内の小中学校35校に所属するおよそ850人の教職員を対象にテレワーク環境を提供している。教職員の移動時間などの無駄な時間を削減し、時間の創出を後押しするだけでなく、システム利用時のセキュリティリスクを減らす。クラウド化前までは、教職員が自宅作業のためにデータを入れたUSBメモリを持ち帰り、紛失するといった問題があった。同市はデータをクラウドで管理し、場所にとらわれない業務環境を実現することで、このようなリスクを解消した。
「2019年2月で、教育クラウドを全く利用していなかった時と比べ、教職員の業務時間は1人当たり年間162.6時間削減できた」と西条市教育委員会の渡部 誉氏は説明する。教職員側だけでなく、指導される側の児童・生徒にも影響があった。児童・生徒の学力について、全国学力・学習状況調査の全国平均と比較した結果が11.0ポイント増加したという。これについて渡部氏は「教職員が児童や生徒と向き合う時間が増えたことが、指導の質の向上につながった」と理由を添える。
教職員の業務環境改善は、教職員自身の介護や育児との両立にも大きく寄与している。実際にテレワークを使った教職員へのアンケートでは、「親の介護のために休職せざるを得ないと思っていたがせずに済んだ」「夜に仕事をするため自宅から職場に戻る必要がなくなった」という意見もあった。テレワークシステムを利用する教職員は2019年2月時点で59.2%。「利用率8割を目指したい」と渡部氏は話す。
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