iCloudはダメ?
モバイル端末のバックアップは悩ましい 管理手法別に紹介
モバイルデバイス管理(MDM)の対象としているモバイル端末のバックアップを許可していいかどうかは、状況ごとに異なる。COBO、COPE、BYODのシナリオ別にIT担当者が検討すべき事項を解説する。
モバイルデバイス管理(MDM)に登録している端末のバックアップを許可してもいいかどうか、判断に迷うときがある。画一的に厳しいルールを課すのは簡単だが、実際には端末の使い方やエンドユーザーの観点などさまざまな要因によって状況は異なる。本稿では、モバイル端末のバックアップに関する社内ポリシーを決める際の一般的なガイドラインを紹介する。
会社支給の業務専用端末(COBO)の場合
会社支給の業務専用端末(COBO)や、特定のアプリケーションに機能を限定した専用端末あるいはキオスク端末の場合、バックアップは全面的に禁止すべきだ。COBOで管理する端末に会社のデータを永続的に保存しておく理由はないし、エンドユーザーが個人用アカウントや私物端末にバックアップするのにふさわしいデータもない。
IT部門は、COBOでのGoogleやAppleの個人用アカウントの使用と、クラウドへのバックアップを禁止すべきだ。Android端末からのUSB転送や、iOS端末と無認可ホストのペアリングも禁止しなければならない。これはエンドユーザーが、USBケーブルで会社のデータを私物端末に転送するのを防ぐために必要な標準的推奨措置だ。
会社支給端末の私的利用を許可する(COPE)場合
会社支給端末の私的利用を許可する(COPE)場合、一般にバックアップは許可してよい。その際に主流となるのはクラウドバックアップだ。ただし私物PCなど、信頼できないエンドポイントへの接続は禁止すべきだ。
COPEでは、COBOとは異なる端末の管理方法が必要になる。iOS端末の場合、管理対象アプリがAppleのクラウドサービス「iCloud」にデータをバックアップできないようにすべきだ。管理対象外のアプリで会社のドキュメントを開けないようにすることも欠かせない。
企業利用向けのAndroidである「Android Enterprise」が利用できる最近の端末では、「Android 5.0 Lollipop」以降に導入された統一管理APIを使用している。端末を完全な管理下に置き、仕事用プロファイルに会社のデータを隔離する。そのため標準では、会社のデータを個人用Googleアカウントにバックアップすることはできない。これは会社のデータを個人用アプリと共有できないようにする他の制限と併せ、データ漏えい防止に役立つ。
旧式のAndroid端末には注意が必要だ。中には廃止予定の社用デバイス管理用API「Device Administration API」を使用している端末もある。このような端末の場合、エンタープライズモビリティー管理(EMM)ツールを使い、コンテナによる管理を実施できる。EMMツールには、例えばセキュリティツールベンダーMobileIronによる「MobileIron AppConnect」や、仮想化ツールベンダーVMwareの「VMware AirWatch Container」などが利用できる。こうした対策を実施しないと、COPEから会社のデータをクラウドにバックアップし、管理対象外端末でそのデータを復元できてしまう恐れがある。そのため、可能な限りバックアップを禁止しなければならないのと同時に、Android Enterpriseの導入も検討すべきだろう。
私物端末の業務利用(BYOD)の場合
iOS端末について、私物端末の業務利用(BYOD)の場合、必要なバックアップ制限はCOPEの場合とあまり変わらない。しかし私物端末は会社の所有物ではないため、厳しい制限を課すことを社員は受け入れづらい。
BYODで利用する端末を、ケーブルで私物PCに接続するのを防ぐことは難しい。旧式のAndroid端末にも同じことがいえる。
Android Enterpriseを導入していても、仕事用プロファイルのみが管理対象である場合は、端末全体や親プロファイルは限定的にしか管理できない。そのため、私的使用を認める端末でのバックアップは防げない。
このような場合には、端末を新しく完全な管理対象としてプロビジョニングするよりもよい方法がある。端末のセットアップ後、Androidのアプリストア「Google Play」からEMM用のクライアントアプリケーション(エージェント)をダウンロードする方法だ。そうすることで、仕事用プロファイル内ではバックアップサービスが標準で無効になり、個人用Googleアカウントを追加できなくなる。この標準設定を維持することは、データ漏えい防止に役立つ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[NTTインテグレーション株式会社] 取引先のセキュリティをどう管理する? 「SCS評価制度」対応の勘所を解説 -
製品資料
[NTTインテグレーション株式会社] SCS評価制度「★4」取得のカギ 最大の壁を突破する方法とは? -
製品資料
[NTTインテグレーション株式会社] 2026年度末から運用開始 「SCS評価制度」に備えて製造業がやるべきことは? -
事例
[ネットワンパートナーズ株式会社, アイビーシー株式会社] ハイブリッド環境の一元管理と快適な無線LAN環境、三井ホームはどう実現した? -
市場調査・トレンド
[TD SYNNEX株式会社] 調査で学ぶセキュリティ運用の実態 人を増やさず品質を維持する方法とは?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
3
「ノートPC派」は損をしている? Dellと考える“自作PC”のメリット
-
4
「業務改善とツール活用」に関するアンケート
-
5
LINEヤフーはなぜ「社内の管理者」すら信用しないインフラを作ったのか
-
6
「GitHub Copilot」3000人に配布も基本機能しか使われない 保険大手が得た教訓
-
7
脱VMwareの前提が崩れる BroadcomのVDDK公開停止で確認すべき点
-
8
秘密鍵が盗まれる「Appleシリコンの脆弱性」は修正困難……苦肉の策とは?
-
9
「身代金を支払う」以外のランサムウェア対策は本当にあるのか?
-
10
1200万円のSaaS導入を回避 スギ薬局「運用費10万円」のAIエージェント構築術
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
DX/AI投資の壁を突破、現代の最高財務責任者が直面する課題と克服のヒント
-
2
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
3
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
4
バックアップは“取っているから大丈夫”なのか? ランサムウェア時代の備え方
-
5
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
6
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
7
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
8
5分で分かる Microsoft 365のデータ損失に備えるためのバックアップの仕組み
-
9
ネットワーク遅延の原因、「パケットロス」の基礎知識と効果的な解決策
-
10
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー