SANには「ファイバーチャネル」と「iSCSI」が一般的に使われる。どちらでSANを構成すべきかは意見が分かれる。それぞれどのようなネットワーク技術なのだろうか。
“世紀の対決”とも言えるのが、サーバやストレージシステム間を接続するためのストレージインタフェースに「ファイバーチャネル」(FC)と「iSCSI」(Internet Small Computer Systems Interface)のどちらを選択するかという問題だ。FCやiSCSIはいずれも、複数のサーバやストレージシステムを接続するネットワーク「SAN」(ストレージエリアネットワーク)を構成する際に使われる。FCは主要サーバベンダーやストレージベンダーが推しており、iSCSIはNAS(ネットワーク接続ストレージ)ベンダーやスタートアップ(創業間もない企業)、ユーザー企業が推している。
FCとiSCSIは、激しい競合関係にあると考えられがちだ。だがサーバベンダーやストレージベンダーは、必ずしも「FC vs. iSCSI」だとは捉えていない。人気のあるストレージシステムの大半は、FCまたはiSCSIのどちらかに特化するのではなく、両方を利用できるようにしている。両者を比べる前に、まずはFCとiSCSIの基本を概説する。
FCは、SANで使われていた「SCSI」(Small Computer System Interface)よりも信頼性と拡張性が高く、レイテンシ(遅延)が小さいストレージインタフェースとして開発された。8Gbps、16Gbps、32Gbpsのスループット(データ伝送速度)が出る規格が一般的に選択される。32Gbpsの4つのレーン(データの通り道)を束ねれば、最大128Gbpsのスループットが得られる。
現在、機械学習などのAI(人工知能)技術や分析技術の利用に伴って、企業で生成されるデータ量は増える傾向にある。これを背景にアプリケーションのパフォーマンスを向上させるために、ストレージインタフェースにSAS(Serial Attached SCSI)やSATA(Serial ATA)を採用したSSD(ソリッドステートドライブ)、新たなストレージインタフェース「NVMe」(Non-Volatile Memory Express」をFCで使用する「NVMe over Fabrics」(NVMe-oF)の導入が進むのに伴い、FCの利用が広がっている。
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