“偉大なOS”「Windows 7」を振り返る【前編】
「Windows 7」がここまで愛された理由 “Vistaの失敗”を乗り越えて
惜しまれながらもついにサポートが終了したMicrosoftの「Windows 7」。広く支持された理由とは何だったのか。専門家に聞いた。
2009年に登場し、2019年1月にサポートが終了したMicrosoftのクライアントOS「Windows 7」。モバイルデバイスが爆発的に台頭し、Webアプリケーション人気が高まる中、勢力を守り続けた“偉大なOS”のWindows 7の良かった点と悪かった点を、前後編にわたり業界の専門家に聞く。
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古くて頼れる存在
調査会社Gartnerの調査担当副社長、スティーブン・クレイハンズ氏はWindows 7について、かつて企業のクライアントPCにおいて支配的な普及度を誇っていた「Windows XP」からの大きな前進だったと位置付ける。「Windows 7はある意味で過去10年にわたり、企業にとってのコンピューティングとは何なのかを体現していた」とクレイハンズは主張する。
「一定水準の真のセキュリティを念頭に置いて設計された、Windowsの初めてのバージョンだった」と、クレイハンズはWindows 7を評価する。Windows 7は、複数の新しいセキュリティ機能を導入した。ファイルシステム「NTFS」の暗号化機能である「暗号化ファイルシステム」(EFS)の暗号アルゴリズムとして、新たに比較的短い鍵長でも高度な安全性を確保できる「楕円曲線暗号」(ECC)を利用できるようにした。パーソナルファイアウォール機能「Windowsファイアウォール」で外部へのトラフィックを制御できるようにもした。
クレイハンズ氏はWindows 7について「本当に堅実なOSだった。華々し過ぎず、それでいてこの市場のハードウェアを支えた、良好で、堅実で、信頼できるOSだった」と説明する。エンドユーザーにとってもWindows 7は快適だったと同氏は指摘。「エンドユーザーにそれほどの負担を与えなかった。エンドユーザーが知っていることに沿っていた」と語る。
「Windows Vista」の“大失敗”が教訓に
調査会社VDC Research Groupのアナリスト、エリック・クライン氏はWindows 7の発売について、Microsoftの“大失敗”、つまり「Windows Vista」を受けた前向きな動きだったと振り返る。Windows 7の1つ前のバージョンだったWindows Vistaは2007年にリリースされた。「Windows VistaはMicrosoftにとって大きな“汚点”だった。Windows 7ははるかに洗練され、非常に安定していた」(クライン氏)
クライン氏によると、Windows 7がWindows Vistaよりも管理しやすかったという事実は、企業に普及したもう一つの要因だった。「スモールビジネス(優良な中小企業やベンチャー)も含めてあれほど多くの企業が、真にWindows 7に入れ込んだ。同OSは信頼でき、セキュリティを守ることが可能だった」(同氏)
Windows 7の寿命の長さは、ハードウェアの入れ替え率が減速したことも一因だった。企業は新しいコンピュータを調達する際に新しいOSを採用する傾向があるからだ。一般的にWebアプリケーションでは、個々のクライアントPCがハイエンドの馬力を持つ必要性がない。そのためユーザー企業が古いマシンを使い続けられる期間が長くなる。
「究極的には、よくできたOSだった」。Windows 7についてそう振り返るのは、調査会社Enterprise Strategy Groupの上級アナリスト、マーク・ボウカー氏だ。「多くの組織にとって古くて頼れる存在になった。サポート終了を迎える時でさえも、多くの組織のコンピュータに残っていた」(ボウカー氏)
Microsoftは企業がWindows 7に対して持っていた価値観を認識し、サポートを継続することによってそれに応え、有料サービスをユーザー企業に提供した。2020年1月のサポート終了後も、ユーザー企業は最大で3年間、Microsoftの有料サポートを利用できる。
後編はWindows 7が直面した困難と、後継OS「Windows 10」の今後を聞く。
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