多数の拠点を擁するAPi Groupは、ストレージコストの増大に悩まされてきた。DASからWAFS、そしてNasuniのクラウドストレージに至る同社の事例を通してストレージコスト削減のヒントを探る。
米国を拠点とする建築および工業サービス企業APi Groupは、NasuniのクラウドNASゲートウェイに切り替えることでストレージコストを「数十万ドル」削減した。このゲートウェイはオンサイトのストレージを最小限に抑えて、グループサイトへのハードウェアデプロイの標準化を可能にする。同社はそれまで異なるハードウェアをローカルに展開し、迅速なスケーリングには適さないファイル共有・転送製品を利用していた。
APi Groupは建築、エネルギー、安全などの分野で40種類の事業を展開する持ち株会社で、200カ所の拠点と1万5000人の従業員を擁する。
2000年代、同社はDAS(Direct Attached Storage)をごく少数の拠点に展開していた。だが、それ以降急速かつ広範囲に及ぶ成長期を迎えることになる。
この構成は、ニューヨーク州のサーバのデータが1TB消失したことで終わりを告げる。ITの実装と購買担当マネジャーを務めるブライアン・エリクソン氏はそのデータを復元するため、USBメモリを握って飛行機に飛び乗らなければならなかった。
「二度とそんな経験はしたくない」と同氏は話す。その後、同社はGlobalSCAPEのWAFS(Wide-Area File Services)を使ってデータを保護することにした。WAFSはデータを切り取って中央に複製する。しかし、この構成もグループ企業が増加するにつれ、スケーリングの問題が起きるようになる。
「拠点が25カ所を超えたとき、WAFSでは対応できなくなった。パフォーマンスが低下し、テラバイト単位でバックアップするたびに別の2拠点に格納しなければならなかった。物理スペースがすぐに足りなくなった」(エリクソン氏)
経営陣は、確実にバックアップできたかどうかを「びくびくしながら」すごす夜や週末を何度も迎えたと同氏は話す。
そんな中で、APi Groupはクラウドストレージ企業のNasuniと出会った。
APi GroupはAutodeskの建築設計ソフトウェア「Revit」のヘビーユーザーである拠点で概念実証を行った。この概念実証によってNasuniのストレージからRevitのモデルを立ち上げる時間が45分から10分に短縮され、これは使えると確信した。
現時点で、Nasuniの仮想アプライアンスを163拠点に展開している。データは一定量をローカルストレージに保持し、膨大な量のデータをNasuniクラウドにオフロードしている。
「プロジェクトファイルやPDFなどは、ユーザーにはローカルストレージにあるように見える。オフィスと社外パートナーの間にコラボレーションフォルダを用意することも可能だ」とエリクソン氏は話す。
バックアップは5分ごとに行われ、スナップショットがクラウドにコピーされる。そのためそれ以外のデータ保護ソフトウェアは用意していない。この方法で、同社は既に幾つかのランサムウェア攻撃を回避している。
Nasuniの使用量は227TBに達している。これにより「数十万ドル」を節約し、数えきれないほどのHDDを廃止したとエリクソン氏は語る。
エリクソン氏は次のように振り返る。「Nasuniの導入当初、コストはWAFSとあまり変わらなかった。実際に感じたのはハードウェアコストの削減だった。拠点に12TBのデータがあっても12TBが必要になることはない。頻繁に使うデータ(ローカルに保持するデータ)は30%にすぎない」
「当社は数十万ドルを節約できたと思う。Nasuniの大きなメリットはそれを可能にすることだ。Nasuni製品を拠点に導入すると、まるで以前からあったかのように即座に稼働する」
WAFSの利用を継続していたら、その管理作業を担当する従業員を1.5人採用する必要があったと同氏は見積もっている。
エリクソン氏はNasuniのバージョンアップにも期待している。
「ファイラーの同期が遅れている場合など、もっと多くのアラートを受け取りたい。ファイルのヒューリスティックも改善したい。例えば10MBのPDFが表示されていても、そのファイルがどこにあるかは示されない」(エリクソン氏)
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