外付けストレージの利用など設計における配慮を怠らず、用途を選べば、小規模拠点の業務用サーバとして「ミニPC」を使うことは可能だ。具体的にどのような使い方があるのだろうか。
「ミニPC」は本体が小型で、一般的なサーバよりも導入コストを低く抑えることができる。それに導入も比較的簡単だ。だが業務用サーバとして利用する場合、搭載するSSDが一台のみの場合はドライブの障害発生時に業務が停止してしまうリスクがある。
そうした場合に備えるにはバックアップ用のストレージを検討する。他拠点のストレージやクラウドストレージとの同期に加え、NAS(ネットワーク接続ストレージ)のような外付けストレージを調達し、拠点内のストレージとして追加することもできる。例えば容量4TBのNASであれば、数百ドル程度で調達可能だ。
SynologyのNAS「DS419slim」は、Micro-Star International(MSI)のミニPC「Cubi 5 10M」とほぼ同じ設置面積で、オフィスのシェルフやデスクに設置できる。Cubi 5 10MもDS419slimも、設置場所が確保しにくく一般的な企業向けのサーバやストレージが導入しづらいROBO(リモートオフィス/ブランチオフィス)に適したサイズだ。ファンの騒音を抑えつつ、十分な性能を発揮する。
食料品を扱う小売店舗は、本社のデータセンターと接続するWANに障害が起きた場合、あるいは常時でもオフィス内のミニPCでPOS(販売時点情報管理)システムを運用できる。ミニPCはハードウェアに多額の費用を投じることなく、企業向けの仮想化インフラを構築可能だ。これは小売店だけでなく、診療所や歯科医院、動物病院といった拠点にとってもメリットになる。
NASを追加すれば、ミニPC内臓のSSDで仮想マシンを運用し、NASを外付けのデータ格納用ストレージとして使える。NASでRAIDを組めばデータの可用性は一段と高まる。SynologyのNAS「DS1621+」のように、10GbE(ギガビットイーサネット)のネットワークカードを内蔵した製品もあるが、一般的にミニPCは10GbEのポートを搭載していない。その場合はデータ伝送速度が制限されるが、この状況は将来的には変わる可能性がある。
ファイルサーバで利用する場合は、エンドユーザーがデータ伝送速度の違いに気付かないこともある。ただし、よりネットワークの影響を受けやすく重要なアプリケーションの場合、データの格納場所をミニPC内臓のSSDにとどめたいと感じるだろう。
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