今見えているトレンドは、コロナ禍をきっかけとした大きな変化の第一歩にすぎない可能性がある。医療ITの投資計画を立てる上で重視したい「成熟を見据えた長期計画」のヒントは。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が引き起こした社会的な混乱によって、医療IT領域ではこれまで見受けられなかった課題が顕在化し始めている。こうした課題を未解決のまま放置すると、資金繰りが厳しい医療機関は大きな影響を受ける可能性がある。
IT投資の効果は明白だ。だが大抵の医療機関はIT予算不足に直面している。加えてCOVID-19に端を発するさまざまな課題ものしかかる。本稿は医療機関のIT部門が今後重視すべき3つの分野のうち、1つ目と2つ目を解説する。
「保険承認プロセスの効率を上げる」「患者ケアのアウトカム(成果)を改善する」「患者ケアにまつわるミスをなくす」――。こうした宣伝文句でベンダーがアピールするのが「ロボティックプロセスオートメーション」(RPA)製品だ。
事実、RPA製品の導入は加速している。それはコロナ禍の混乱も一因となっている。調査会社Gartnerによる2020年5月発表のプレスリリースによると、米国の医療機関の半数は今後3年以内にRPAに投資する、と同社は予測している。同社の調査開始時点では、RPAに投資している米国の医療機関は5%程度だった。RPAの利用を通じて削減したコストは、臨床の最前線で必要となるリソースとして再配分できる。
COVID-19のパンデミック(世界的大流行)が発生した直後から、あらゆる業種と同様に医療機関も、まるでパッチワークのキルトを縫い合わせるように、その場しのぎでIT課題を解決してきた。これらの奮闘は、何とか生き残ってサービスを継続させるために必要なことだった。だが今必要なのは、より戦略的で長期にわたるアプローチだ。
例えば包括的な遠隔医療の仕組みを導入して、「健康と安全性の維持」「患者ケア」「健康リスクの緩和」という3つの重要な価値を実現することが挙げられる。遠隔医療には次のようなメリットがある。
COVID-19の感染が拡大する状況でもケアを継続させることを重視する医療機関にとって、遠隔医療が「なくてはならないもの」になるのは明らかだ。調査会社Global Market Insightsによると、遠隔医療の市場は2027年までに平均成長率(CAGR)18.2%に達し、1868億ドルもの規模になる。現時点で目の当たりにしている遠隔医療の姿は、このトレンドの最初のサイクルにすぎない可能性がある。リスクが少なく、革新的で、包括的な患者ケアのための手法を見極めて導入することが、これからの医療機関にとって「真に重要な目標」になると考えられる。
後編は3つ目の項目「電子カルテ(EHR)など医療データの長期保存にかかるコストの削減」について解説する。
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