医療現場において、データの品質は患者の生命に関わる要素だ。だがデータ品質維持に課題を抱える医療機関は少なくない。背景には何があるのか。
生命に関わる医療現場において、データの品質は単なる優先事項ではなく「必要不可欠な要素」だ。しかし医療機関は、さまざまな問題により膨大な量のデータを十分に活用できていない。医療機関はデータ管理のベストプラクティスを追求し、コミュニケーションを改善し、人材に投資することで、データの品質と患者の管理を確実に実践する必要がある。
「医療現場の既存データは、患者の満足度向上(エクスペリエンスの改善)の全体像を理解する手段にはなっていない」。満足度改善ツールベンダーInMomentで医療および患者エクスペリエンス担当バイスプレジデントを務めるジェイソン・マケドニア氏はこう言い切る。
医療機関は膨大な量のデータを取り扱う。ただし、その通信量は少なく、医療機関内のさまざまな診療科が別々にデータを収集する「サイロ化」の状態になっていることが少なくない。関連するデータであっても医療機関が相互に通信、共有していないケースは医療業界全体に見られる。
患者管理から医療費の請求まで、医療機関のサービスのさまざまな側面を制御しているのが、医療機関に存在する各種システムだ。これらのシステムは「さまざまな方法で動作し、データの収集方法についてこれといった標準化もなしに、データを個別に収集している」と、スケジュール管理ツール「Skedulo」を提供するSkedulo Holdingsの技術および革新担当エグゼクティブバイスプレジデントであるポール・シュルツ氏は述べる。
組織全体に標準化がなければ、診療科はめいめいの方法でデータを収集することになる。こうしてサイロ化してしまうと、今後は膨大な通信が必要となり、通信なしではデータ品質も低下することになる。
ツールを使用して、これらの異なるサイロから収集されたデータを連携する機会も未開拓のままだ。医療業界がデジタルトランスフォーメーションや高度なデータ収集および分析技術を完全に受け入れるにはまだ時間がかかるだろう。
後編は、データ品質の低下が医療サービスに与える悪影響を考察する。
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