非営利団体Operation Fistulaは、世界各国の特定地域で生じている産科瘻孔の問題に終止符を打つための取り組みで、データ分析を積極的に活用している。同団体の活動内容と、データ分析の要となっているツールとは。
非営利団体Operation Fistulaは、世界各国の特定地域で「産科瘻孔(ろうこう)」に終止符を打つための取り組みを続けている。産科瘻孔とは、膣(ちつ)を経由するお産が困難な状態である「閉塞(へいそく)性分娩(ぶんべん)」が長引いたときに、適切な医療処置を受けられない場合に起こる分娩外傷だ。同団体によると、アフリカとアジアの55カ国で約100万人の女性が産科瘻孔を患っているという。
適切な帝王切開手術ができない状態で分娩が数日間に及ぶと、母体組織と胎児への血流が遮断され、母体組織の壊死(えし)と胎児の死亡を引き起こす場合がある。そうして胎児が死亡状態で生まれた後、母体組織の壊死が原因で母体の尿管や腸などに穴が開くのが産科瘻孔で、尿や便失禁症状が生じる可能性がある。適切な手術を受けられなければ、産科瘻孔を患う女性は社会から疎外され、1人で生活することを余儀なくされ、経済的困窮に陥る恐れもある。
適切な医療処置を受けられない地域で発生する産科瘻孔を減らすために、現地の活動から資金調達に至るまで、Operation Fistulaは約10年の歳月をかけてデータ分析に取り組み、試行錯誤を繰り返してきた。そして同団体は2017〜2019年の2年間で、産科瘻孔に終止符を打つ取り組みの意思決定プロセスでデータを効果的に使用できるようになったという。
Operation Fistulaは以前、手作業でデータの収集と入力をしていたが、現在はさまざまなデータ分析ソフトウェアを使用するようになったという。データ収集にはDimagiの「CommCare」、CommCareのデータ抽出にはAlteryxの「Alteryx Analytic Process Automation Platform」、データウェアハウス(DWH)はExasolの同名ツール、データの視覚化はTableauの同名ツールを利用している。
「紙媒体で可能なありとあらゆることを試みたが、デジタル化は避けられなかった」と語るのは、Operation Fistulaの創設者兼CEOを務めるセス・コクラン氏だ。要となったツールはExasolだとコクラン氏は話す。同団体では、チームの全メンバーがデータを閲覧して、質問に答えられるようになったという。全メンバーがTableauのトレーニングを受けており、Exasolは連携役だ。「Exasolは当団体の活動の隅々まで浸透している」(コクラン氏)
中編は、Operation FistulaがExasolを導入したいきさつを紹介する。
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