インターネット経由でプリンタ管理と印刷を可能にする「Universal Print」(ユニバーサル印刷)。Microsoftが「Microsoft 365」ユーザー向けにパブリックプレビュー版の提供を始めた、同サービスの特徴を説明する。
Microsoftは2020年7月、クラウドサービスで稼働する印刷サービス「Universal Print」(ユニバーサル印刷)のパブリックプレビュー版を発表した。同サービスを利用することで、在宅勤務などのテレワーク中のエンドユーザーが、インターネットを経由して職場のプリンタで印刷できるようになる。同社はUniversal Printのパブリックプレビューを、サブスクリプション形式のオフィススイート「Microsoft 365」を使用する各地域のユーザー企業向けに段階的に展開する。
Universal Printは、従業員が印刷可能なプリンタを簡単に見つけて利用できるようにすると同時に、IT担当者のプリンタ管理を効率化する。
リモートでのプリンタ利用は、テレワークを実践する従業員や、モバイル端末を使用して仕事をする従業員にとって悩みの種となっている。オンプレミスのプリントサーバは、こうしたエンドユーザーがインストールできないプリンタドライバを要求することが一般的だからだ。Universal PrintはMicrosoftのクラウドサービス「Microsoft Azure」で稼働するプリンタ管理ツールを提供する仕組みで、こうした問題を解決する。
ID・アクセス管理サービス「Azure Active Directory」(Azure AD)で認証された「Windows 10」デバイスで、Universal Printが使用可能だ。IT管理者はWebブラウザからコンソールを使ってプリンタを管理し、エンドユーザーに印刷機能を提供できる。コンソールからプリンタへのアクセスやプリンタプロパティの表示、プリンタのデフォルト設定の管理などに関わる権限を設定することも可能だ。
Microsoftパートナーのキヤノンやブラザー工業、HPなどのベンダーは、Universal Printが最適に機能するプリンタを販売する。Microsoftは、こうしたプリンタ以外のプリンタをUniversal Printに接続するためのアプリケーションを提供する。
オンラインでのドキュメント管理の広がりや、デジタル署名システムの普及を背景に、オフィスでの印刷機会は失われつつある。「それでもほとんどの企業は、何らかの書類を印刷する必要がある」と、調査会社Enterprise Strategy Groupでアナリストを務めるマーク・ボーカー氏は語る。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大に伴い、さまざまな企業の従業員がテレワークを余儀なくされている。そのためインターネットを使ってオフィスの外から印刷する機能は重要性を増している。テレワークをしている人も、Universal Printを使うことでオフィスのプリンタに接続できる。
調査会社Constellation Researchの創設者R・レイ・ワン氏は、Universal Printは面倒なプリンタ管理作業を効率化すると説明する。IT担当者はクラウドサービス側で動く管理ツールを使って、プリンタのセキュリティ設定を管理したり、利用状況を把握したりできる。
Universal Printの競合サービスには、ThinPrintの同名サービスやGoogleの「Google Cloud Print」(Googleクラウドプリント)などがある。
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