国家レベルのサイバー攻撃手法のトリクルダウンに備えよIT意思決定者の不安が現実になる日

国家が開発したサイバー攻撃手法を犯罪者集団が利用する「トリクルダウン」が懸念されている。実際にその動きは始まっている。国家が開発した高度な手法で自社システムが攻撃される日が来るかもしれない。

2021年10月06日 08時00分 公開
[Alex ScroxtonComputer Weekly]

 2021年初頭、Tolunaはオーストラリア、カナダ、ドイツ、日本、メキシコ、英国、米国のIT意思決定者1100人を対象にアンケート調査を行った。この調査で、国家が開発したTTP(Tactics, Techniques and Procedures)がダークWebを通じて攻撃に使われる(トリクルダウン)ことを恐れているIT意思決定者が72%に上ることが分かった。

 HP Inc.はこの懸念を正当だとする。ロシアのAPT29やCozy Bearが米国を標的とした攻撃でSolarWindsの「Orion」をハッキングした。それに利用されたTTPの一部が無関係なランサムウェア集団に使われた証拠が明らかになっている。

 HPのイアン・プラット氏(パーソナルシステムのセキュリティ担当グローバル責任者)は言う。「こうしたツールは何度も闇市場に持ち込まれている。その悪名高い例がWannaCryのハッカーによって使われたEternal Blueだ。その投資利益率は強力で、サイバー犯罪集団が高度化のレベルを高め、国家が開発した技法の一部を模倣し始めるほどになっている。その好例が、ランサムウェア集団がKaseyaの顧客に仕掛けたソフトウェアサプライチェーンへの攻撃だ。記憶にある限り、このような手口で攻撃を仕掛けたランサムウェア集団は初めてだ」

 プラット氏によると、Kaseyaのインシデントは国家が開発した攻撃方法を金銭目当ての犯罪集団が使って金銭化するという青写真を作り出した。そのためこの手口がさらに広がる恐れがあるという。

 「以前は、顧客の規模がそれほど大きくないISV(独立系ソフトウェアベンダー)がサプライチェーン攻撃の足掛かりとして標的にされる恐れは低かった。今や全てのISVが攻撃対象になることが増え、侵害されたソフトウェアやサービスがISVの顧客への攻撃に使われている」(プラット氏)

 サイバー犯罪者によるリスクに加えて、国家による攻撃の直接の標的となることを懸念する意思決定者は半数以上(58%)に上る。意思決定者の70%は、将来起きるかもしれないサイバー戦争の巻き添えになることを恐れている。

 「これは真剣に取り組むべき非常に現実的な脅威だ。国家が開発したツールや技法を利用するサイバー犯罪集団に対抗するにせよ、国家による攻撃自体に対抗するにせよ、これまで以上に断固とした敵に向き合うことになる」(プラット氏)

 同氏は、サイバーリスクを抑える方法を再評価するよう意思決定者に助言する。1つのツールや技法で100%保護される可能性がないことを考えると、サイバー攻撃に対するより構造的なアプローチが必要だとプラット氏は指摘する。

 「きめ細かいセグメンテーション、最小限の特権の原則、強制アクセス制御を通じて攻撃対象面を積極的に縮小する堅牢(けんろう)なセキュリティアーキテクチャが必要だ」

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

隴�スー騾ケツ€郢晏ク厥。郢ァ�、郢晏現�ス郢晢スシ郢昜サ」�ス

製品資料 ゾーホージャパン株式会社

システムに侵入され深刻な被害も、サービスアカウントの不正利用をどう防ぐ?

サービスアカウントによる特権アクセスの管理に頭を悩ませるセキュリティ担当者は少なくないだろう。重要なシステムやデータを守るには、こうした特権アクセスを適切に管理し、アカウントを保護することが求められる。

製品資料 ゾーホージャパン株式会社

“人間ではない”サービスアカウントに潜む、3つのセキュリティリスクとは?

サービスアカウントの悪用や誤用が問題になっている。システムやアプリケーションへのアクセスに特別な権限を有しているだけに、悪用されれば大きな被害につながる可能性もある。管理・保護のベストプラクティスをチェックしよう。

製品資料 Splunk Services Japan合同会社

デジタル決済の普及で金融犯罪や不正行為が急増、被害を防ぐために必要なものは

eコマースの登場以降、デジタル決済の選択肢は急速に広がり、利用者の利便性は飛躍的に高まった。一方で、それぞれの決済方法を利用するユーザーを標的とした金融犯罪や不正行為も爆発的に増加している。どう防げばよいのだろうか。

製品資料 Splunk Services Japan合同会社

金融犯罪を未然に防止、システムが複雑化する中で取るべき対策とその実装方法

金融サービス業界において、金融犯罪を防ぐための対策は不可欠だ。デジタルサービスが増え、システムが複雑化する中で、どう対策を実践していくか。取引詐欺やマネーロンダリングなど4つのシーンを取り上げ、具体的な対策を解説する。

製品資料 グーグル合同会社

ゼロトラストセキュリティのハードルを下げる、“ブラウザ”ベースという視点

クラウドシフトが進み、リモートワークも普及した現代のIT環境で重要性が高まっているのが、ゼロトラストに基づくセキュリティ対策だ。その新たなアプローチとして、ブラウザベースの手法が注目されている。どういった手法なのか。

郢晏生ホヲ郢敖€郢晢スシ郢ァ�ウ郢晢スウ郢晢ソスホヲ郢晢ソスPR

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

郢ァ�「郢ァ�ッ郢ァ�サ郢ァ�ケ郢晢スゥ郢晢スウ郢ァ�ュ郢晢スウ郢ァ�ー

2025/04/16 UPDATE

  1. 郢晢スゥ郢晢スウ郢ァ�オ郢晢ソス郢ァ�ヲ郢ァ�ァ郢ァ�「隰セ�サ隰ヲ�ス�ス遯カ諛キ蠎カ騾カ蟯ゥツ€譏エ窶イ30�ス�ス�ク蟶卍€ツ€驕橸スシ邵コ蛛オ竊醍クコ荳岩�邵コ�」邵コ貅ス螳倬р�ェ髢��ス�ス髫ア�、驍ゑソス
  2. 郢晢スゥ郢晢スウ郢ァ�オ郢晢ソス郢ァ�ヲ郢ァ�ァ郢ァ�「邵コ�ョ陷企�醍�闔会ス・闕ウ鄙ォ窶イ遯カ諛岩旺邵コ�ョ關難スオ陷茨ス・驍ィ迹夲スキ�ッ遯カ譏エ�定ャ費スェ騾包スィ遯カ陬慊€謌奇スヲ遏ゥ邃�クコ譁撰シ�ケァ蠕娯螺郢晢スェ郢ァ�ケ郢ァ�ッ邵コ�ィ邵コ�ッ�ス�ス
  3. 郢晢スゥ郢晢スウ郢ァ�オ郢晢ソス郢ァ�ヲ郢ァ�ァ郢ァ�「鬮ョ�ス螻ョBlack Basta邵コ�ョ闔ィ螟奇スゥ�ア邵コ譴ァ�オ竏晢ソス邵イツ€隴丞シア�臥クコ荵昶�邵コ�ェ邵コ�」邵コ貊灘愛隰ヲ�スツ€�ス�ス遯カ諛域た鬮サ�ウ遯カ�ス
  4. 霎滂ス。隴∝生縲堤クイ蠕後◎郢ァ�ュ郢晢ス・郢晢スェ郢晢ソス縺�クコ�ョ郢晏干ホ溽クイ髦ェ�帝€カ�ョ隰厄ソス笳狗ケァ驫€ツ€諛翫′郢晢スウ郢晢スゥ郢ァ�、郢晢スウ陝�スヲ驗吝�縺慕ケ晢スシ郢ァ�ケ遯カ�ス5鬩包スク
  5. 雎悟カコ�サ蛟・�樒クコ貅假ス芽屁�ス邵コ�ョWeb郢ァ�オ郢ァ�、郢晏現縲定屐蛟カ�コ�コ隲��ス�ス�ア郢ァ雋橸ソス陷牙ク呻シ�邵コ�ヲ邵コ貅ェツ€陬慊€霈斐Ψ郢ァ�。郢晢スシ郢晄コ佩ヲ郢ァ�ー邵コ�ョ隰�唱蜩ィ邵コ�ィ邵コ�ッ
  6. 邵イ謔滂ソス陜趣スィ陋ケ謔カ��邵コ陂悠邵イ髦ェ窶イ200�ス�ス�「蜉アツ€ツ€騾墓サ難ソスAI邵コ�ァ雎鯉スセ雎シ�ォ邵コ蜷カ�狗ェカ諞コ陬ク郢晢ソス�ス郢晢スォ遯カ譏エ�ス陞ウ貊難ソス
  7. 邵イ逾 ̄N邵イ髦ェ窶イ陷奇スア鬮ッ�コ邵コ�ェ騾�ソス鄂ー邵コ�ィ邵イ蜈УNA邵イ蜥イ�ァ�サ髯ヲ蠕鯉ソス陋サ�ゥ霓、�ケ邵コ�ッ�ス貅伉€ツ€IAM邵コ�ョ闕ウ�サ髫補�繝ィ郢晢スャ郢晢スウ郢晏ウィ竏ェ邵コ�ィ郢ァ�ス
  8. 陝�クサ�ス雋ょ現竏ゥ邵コ�ョ邵イ驛。ASE邵イ蟠趣スヲ迢怜ウゥ邵コ蜉ア�ゑソス貅伉€ツ€郢晞亂繝」郢晏現ホ。郢晢スシ郢ァ�ッ郢ァ�サ郢ァ�ュ郢晢ス・郢晢スェ郢晢ソス縺�クコ�ョ遯カ�ス3陞滂スァ陷榊供鬮�ェカ�ス
  9. 陝キ�エ陷ソ�ス2000闕ウ�ス�ス驍丞、イ�シ貅伉€ツ€邵イ譬優邵コ�ィ郢ァ�「郢ァ�ッ郢ァ�サ郢ァ�ケ驍ゑス。騾�ソスツ€髦ェ縲定ア「�サ髴�亂笘�ケァ荵昶螺郢ァ竏夲ソス髫ア讎奇スョ螟奇スウ�ス�ス�シ邵コ�ッ
  10. 郢晢スゥ郢晢スウ郢ァ�オ郢晢ソス郢ァ�ヲ郢ァ�ァ郢ァ�「隰セ�サ隰ヲ�ス�定愾蜉ア��邵コ�ヲ郢ァ繧�€迹夲スコ�ォ闔会ス」鬩・莉」�定ャセ�ッ隰�シ費ス冗クコ�ェ邵コ荳岩�邵コ�」邵コ貅伉€髦ェ�ス邵コ�ッ邵コ�ェ邵コ諛環ー

国家レベルのサイバー攻撃手法のトリクルダウンに備えよ:IT意思決定者の不安が現実になる日 - TechTargetジャパン セキュリティ 隴�スー騾ケツ€髫ェ蛟�スコ�ス

ITmedia マーケティング新着記事

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...

news040.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。