メインフレームには古い、高いというネガティブなイメージが付けられてきたが、最新のメインフレームには当てはまらない。再評価してみる価値はある。
ITのレジリエンスとセキュリティが必須であるにもかかわらず、メインフレームになぜもっと目を向けないのか大いに疑問に思っている。
新しいIT製品のポジショニングとマーケティングの担当者は通常、2つのアプローチのいずれかを使う。新製品のメリットを強調するポジティブなアプローチと、従来の製品を「レガシー」と特徴付け、それは過去のものだと印象付けるネガティブなアプローチだ。
ここ20年、メインフレームはレガシーと位置付けられてきた。企業がメインフレームを最新の代替手段に置き換えたいと希望してきたからだ。だが、最新メインフレーム(主に「IBM System z」)をレガシーとするのは極めて不正確だ。
メインフレームは60年にわたって利用されてきた。そしてIBMや同社を取り巻くソフトウェア開発者エコシステムの巨額の投資により、メインフレームには依然としてかなりのイノベーションが見受けられるというのが真実だ。
コアプロセッサ、オフロードエンジン、メインフレームを構成する物理コンポーネントの内部構成は、IT業界の中でも最も進化しているものの一つだ。メインフレームはミッションクリティカルなワークロードに利用できる、安全でレジリエンスがあり、信頼性の高いプラットフォームであり続けることを常に目標として、急ピッチで開発が進められている。
永い歳月をかけて定着したメインフレームの評価の一つは高価だということだ。これも誤解を招きやすい表現だ。メインフレームが高価なのは事実だ。だが、メインフレームは非常に大きなワークロードを実行できる。ワークロード1つ当たりのコストを他のシステムと比べると、メインフレームのコストは安価とまでは言えないが他システムとほぼ同じだ。重要なのは、メインフレームがこうしたワークロードをかなり高い使用率で維持できることだ。アイドル状態のリソースや未使用のリソースにコストがかかることはほとんどない。
ほぼ全てのITプラットフォームと同様、全てを購入することが常に重要なわけではない。メインフレームにはさまざまな運用方法がある。クラウドモデルに合わせた従量制課金や柔軟なキャパシティー方式などを利用できる。
メインフレームがITインフラの重要なコンポーネントであることは変わらない。その理由は、その運用品質とコストプロファイルにある。他プラットフォームへの移行が難しかったりコストがかかったりすることが理由ではない。多くのベンダーが数十年にわたってメインフレームからの移行を推奨してきたが、メインフレームの利用は縮小していない。実際には、メインフレームの動作は非常に優れており、進化し続けていることから、着実に成長している。
メインフレームのソフトウェアエコシステムは多様性の点でも進化し続けている。「Linux」のようなオープンソースソフトウェアも多数実行可能になっており、従来のアプローチだけでなくコンテナやDevOpsなどの最新開発手法もサポートされるようになっている。新しいソリューションからメインフレームのデータストアのデータにアクセスすることもできる。今や二者択一ではない。最新メインフレームはITアーキテクチャを定義および構築する選択肢の一つになる。
メインフレームは「レガシー」と見なすべきなのだろう。それは過去からの贈り物としての「遺産」であり、将来を豊かにする「レガシー」でもある。そのどちらに重み付けすることもできない。
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