「Windows 11」で「Microsoft Edge」以外のWebブラウザを使ってリンクを開くことができなくなる可能性を巡り、IT専門家やユーザーの議論が白熱している。Microsoftは何を考えているのか。
MicrosoftのOS「Windows 11」で、Webサイトへのリンクを開くために、「Microsoft Edge」以外のWebブラウザが使えなくなる可能性があることが話題を呼んでいる。このことについて、Microsoftは「セキュリティの強化を図ったものだ」と説明する。インターネットでは「競合ブラウザの使用を制限している」といった非難の声がある。
2021年11月、Microsoftは「メール内のリンクはユーザーを不正なWebサイトに誘導する恐れがある」と公式ブログで説明。被害を防ぐために、Windows 11のβ版「Windows 11 Build 22000.346」ではリンクを開くための既定ブラウザをMicrosoft Edgeにしたという。IT専門家は、Microsoftがその変更をWindows 11の正式版にも反映させれば、「Chrome」「Firefox」といった他のWebブラウザを使ってリンクを開くことができなくなる恐れがあると指摘している。
Microsoft Edgeで開かれるリンクを他のWebブラウザで開けるようにするツールとして「EdgeDeflector」がある。EdgeDeflector開発者のダニエル・アレクサンダーセン氏は、Microsoft Edgeの使用を促すというMicrosoftの戦略そのものに理解を示しつつ、「Microsoft Edgeを既定ブラウザにするのはやりすぎだ」と語る。米TechTargetの取材に対し、Firefoxを管理するMozilla Foundationは「ユーザーには既定ブラウザを選択する権利がある」(広報)と強調した。
独立系調査会社Directions on Microsoftのシニアアナリスト、マイケル・チェリー氏は「『Microsoft Edgeでリンクを開くことによってセキュリティを保証する』。これがMicrosoftの主張だ」と説明する。Microsoft Edgeのセキュリティを高める機能に「Microsoft Defender Application Guard」がある。Microsoft Defender Application Guardは、OSから隔離されたコンテナ(アプリケーション実行環境)でMicrosoft Edgeを稼働させることで、マルウェアのOSへの侵害を防ぐ。
Microsoft Edgeを既定ブラウザとして使ってもらおうとするMicrosoftの取り組みは、今回が初めてではない。Windows 11では、前バージョンの「Windows 10」よりも既定ブラウザの設定が複雑になった。Windows 10では既定のアプリケーションを設定する画面を開き、Webブラウザの設定を変更するだけで、既定ブラウザをMicrosoft Edgeから他のWebブラウザに変更できた。Windows 11では同じ画面で、HTTPやHTMLなど、プロトコルやファイル形式別に既定ブラウザを変更しなければならなくなった。
2020年にMicrosoftが投入したMicrosoft Edgeの現行バージョンは、Googleが中心になって開発を進めるオープンソースWebブラウザプロジェクト「Chromium」のレンダリングエンジンを使っている。
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