“コロナ便乗詐欺師”が公的融資を悪用 そのとき英国政府はどう動いたかQuantexaの「CDI」を活用

COVID-19関連の企業支援制度に関連する詐欺に対抗するため、英国政府はネットワーク解析ソフトベンダーのQuantexaと契約を結んだ。どのような効果を期待しているのか。

2022年01月31日 05時00分 公開
[Brian McKennaTechTarget]

 英国政府は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連の融資制度にまつわる詐欺に対抗するため、2021年9月にネットワーク解析ソフトウェアベンダーQuantexaと36万ポンドの1年契約を結んだ。コロナ禍で詐欺師が政府の融資制度を悪用していることから、この契約はそうした犯罪行為への対策の一環だとみられる。

英国政府が選んだ詐欺対策「CDI」とは何か?

 Quantexaは「Contextual Decision Intelligence」(CDI:コンテキストに基づく意思決定インテリジェンス)という技術を実装したソフトウェアを提供し、顧客が持つデータ同士を関連付けて人と場所、組織の関係性を明らかにする。

 この契約は、王立調達サービス庁(CCS)が政府各省のビッグデータ保存・解析プロジェクトに4年間(2022年〜2026年)で最大20億ポンドの予算を計上したと公表した直後に、内閣府が開示した。内閣府は2020年7月に、政府のデータ政策の主導権をデジタル文化メディアスポーツ省(DCMS)から戻す形で握った。今回の契約は、政府全体にわたるデータ解析プログラムの集中化の現れだと見ることができる。

 Quantexaは発表の中で「CDIは高度なネットワーク解析を実現し、これにより詐欺が疑われる企業や個人を正確に示して政府の取り組みを支援する」と述べた。同社によるとCDIは、さまざまなソースからのデータ群をまとめて実世界の違法な行為を明らかにし、将来の不正を発見・防止する力を強化する。

 HSBC BankやStandard Chartered Bankなどの金融機関が詐欺対策でCDIを採用している。QuantexaのCEOを務めるビシャル・マリア氏は「CDIは有効な情報や知見をさらに深掘りし、隠れたリスクや機会に気付き、より良い判断を下す必要がある場合に非常に有用だ」と話す。

 契約は内閣府のユーザー10人がアクセスできるソフトウェアやサービスに対するものとなっている。これらのソフトウェアやサービスは、コロナ関連ではない助成や調達の詐欺については本番利用はできないものの、概念実証(PoC)に用いることはできる。

 内閣府の広報担当は英Computer Weeklyに対し「われわれはコロナ関連の融資制度における詐欺を発見する取り組みの一環としてQuantexaと協力している」と説明。CDIは「政府が詐欺と戦うために用いる、幾つかのツールのうちの一つだ」と語った。

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