「遅い割高通信」と「高速なFTTH」の格差が広がる先進国の事情テレワークには「高速通信」が基本【前編】

テレワークでは快適な速度の通信サービスを利用できるかどうかが重要だ。英国ではパンデミックが広がる中で、2021年にFTTPの利用が急速に拡大した。具体的にどのような変化があったのか。

2022年01月31日 05時00分 公開
[Joe O’HalloranTechTarget]

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 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)によって、世界中で在宅勤務などのテレワークが広がった。英国ではその動きが、通信サービスの利用に顕著な変化をもたらしている。英国情報通信庁(Ofcom)が2021年12月に公開した報告書「Connected Nations 2021」によると、英国では2021年に約75万戸がFTTH(光ファイバーによる通信サービス)を利用開始し、FTTHの利用世帯数は一気に200万戸近くに跳ね上がった。英国で何が起きているのか。

依然として「低速で割高」な通信サービスを使う人も

 英国ではイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの各地域にテレワークが広がった。COVID-19のオミクロン株の感染が拡大することで、テレワークは一層強く求められる。英国ではFTTHを利用可能な世帯数は2020年から2021年にかけて約300万戸増え、合計で800万戸を超えた。より多くのテレワーカーが仕事用の通信サービスとしてFTTHを使える状態が十分に整いつつある状況だ。

 ただし英国でFTTHを利用可能な世帯のうち、FTTHを利用中の世帯は4分の1程度にとどまる。FTTHを利用していない世帯は、依然としてFTTHよりも通信速度の遅い割高の通信サービスを使用していると推定される。Ofcomは、そうした世帯はほとんど変わらない料金でFTTHにアップグレードできる可能性があると指摘している。

 一方でOfcomは、英国における通信サービス分野の情報格差(デジタルデバイド)についても課題として挙げている。前述の通り英国におけるFTTHの提供エリアは広がっているが、適正なブロードバンドを利用できない世帯は、2021年時点でまだ約12万3000戸も存在する。英国の適正なブロードバンドとは、下り(データの受信)速度が10Mbps以上、上り(データ送信)の速度が1Mbps以上の回線を指す。

 適正なブロードバンドを利用できない世帯は、英国政府が用意する支援策「ブロードバンドユニバーサルサービス」に申し込んで、FTTHにアップグレードできる可能性がある。ブロードバンドユニバーサルサービスは、社会活動や経済活動において不可欠な通信サービスを、全ての人に行き渡らせることを目的にして、2020年3月に始まった。その開始以来、Ofcomの推定によればブロードバンドユニバーサルサービスによって約6500戸がFTTHを利用できるようになった。Ofcomは、ブロードバンドユニバーサルサービスが今後さらにFTTHの利用を促すと予測する。

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