米国の工科大学Cal Poly Pomonaが、学生の事務手続きのデジタル化を進めている。その背景には、取り組みを推進する同校CIOの“ある葛藤”があった。その内容は。
California State Polytechnic University , Pomona(Cal Poly Pomona:カリフォルニア州立工科大学ポモナ校)は、大学関係の事務手続きをデジタル化するプロジェクトに着手した。このプロジェクトにより、大学生活を通して学生が得る体験価値「スチューデントエクスペリエンス」(学生体験)をより良くすることを目指す。
Cal Poly PomonaはこれまでIT部門のヘルプデスク用途としてServiceNowの同名ITサービス管理ツールを活用してきた。今後は同ツールを学生とのやりとりにも活用する。同校で情報テクノロジー部門のバイスプレジデント兼最高情報責任者(CIO)を務めるジョン・マクガスリー氏によると、ServiceNowの導入プロジェクトは今後2、3年かかる見込みだ。
2022年秋には、Cal Poly Pomonaへの1年生の志願者数は4万9634件に達した。前年比21%増で、カリフォルニア州立大学の全キャンパスの中で最も多い。マクガスリー氏によると同校は、事務手続きのために大学の学事部に出向く、大学から電話を受けるといった大学関連の事務作業から学生を解放したいと考えていた。
Cal Poly Pomonaは以前からServiceNowを利用している。主にヘルプデスクチケットの管理と大学職員のワークフローを自動化するために生かしてきた。例えば同校の学費援助事務所はServiceNowを使用してヘルプデスクチケットを追跡している。学長室では、学長宛ての要望を受け付けて副学長に仕事を割り振るのに活用している。
このように当初は職員の業務改善を目的としてServiceNowを利用していた。だが「学生との関わり方の改善へと、ゆっくりと目的が変わっていった」とマクガスリー氏は続ける。
ServiceNowで製品担当のシニアバイスプレジデントを務めるマット・シュビマー氏は、「対象が学生であろうと職員であろうと変わらない。さまざまな業界においてデジタルエクスペリエンスの向上は重点戦略分野になっている」と話す。「35歳未満で、好んでオフィスに出向いたり、電話をかけたりする人がいるだろうか」とシュビマー氏は問い掛ける。「今や、あらゆるものがセルフサービスやデジタルになっている」(同氏)
中編は、Cal Poly Pomonaが進める事務手続きデジタル化の中核要素「ダッシュボード」の特徴を紹介する。
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