「Web 3.0」(Web3)で金銭目的の攻撃が目立つ“なるほどの理由”「Web 3.0」の「3大リスク」【後編】

「Web 3.0」はさまざまな人にとって経済活動に参加するためのハードルを下げる一方、攻撃者にも狙われやすい。どのようなリスクがあるのか。

2022年07月19日 05時00分 公開
[Jessica GroopmanTechTarget]

 従来型インターネットにはない、さまざまなリスクが潜む次世代インターネット「Web 3.0」(「Web3」とも)。企業はWeb 3.0を安全に利用するために、特有のリスクを知って対策を講じることが重要だ。後編となる本稿は、Web 3.0の経済的側面におけるリスクを考える。

3.Web 3.0の経済的側面:ブロックチェーンで“お金が動く”ためのリスクとは?

 大半のWeb 3.0向けアプリケーションはミクロ経済や通貨、その他の金融資産と密に関係している。こうした経済的側面からも、Web 3.0のリスクを考慮しなければならない。

 サイバー攻撃を例に考えてみよう。Web 3.0は“経済色”が強いため、攻撃の目的が従来型インターネットと違う傾向がある。従来型インターネットでは、攻撃者に金銭的な利益が出ないような攻撃も実施されているが、Web 3.0はブロックチェーンに眠る“価値”を狙う金銭目的の攻撃が際立っている。

 企業は、ユーザー視点や法的リスク、環境リスク、社会的リスクを念頭に置き、Web 3.0の活用方法を検討する必要がある。具体的には下記のような問題が考えられる。

  • 主に提供側の利益を追求している従来の金融サービスやデジタルサービスと違い、ユーザーにとってのメリットや利用しやすさをどのように実現できるか
  • 人工知能(AI)といった技術をより“人間的に”利用し、人々の生活の改善や環境保護につなげるにはどうすればいいのか
  • 従来型インターネットを使ってきた伝統的企業と創業からWeb 3.0を使っている新興企業はどのように商取引するか。その際、企業の法的保護はどうなるのか
  • Web 3.0で企業はユーザーとの信頼関係をどう築くのか

 これまでの連載で取り上げたのは、Web 3.0のリスクの一部にすぎない。Web 3.0のこれからの課題は、さまざまな人が社会や経済に参加しやすくなるための取り組みにとどまらず、セキュリティをどう強化するかも重要になっている。

 事業の規模を問わず、企業はWeb 3.0を活用する際に、セキュリティを重視しなければならない。Web 3.0のシステム開発では、最初からしっかりしたセキュリティを組み込むのが不可欠だ。攻撃を防ぐための対策はもちろん、攻撃された後に被害を最小限に抑える対策も講じなければならない。

 企業を取り巻く市場環境が激変している中、Web 3.0への対応はスピードが命だ。しかし、セキュリティリスクの分析や対策、監査に時間をかけて取り組むことも忘れてはいけない。Web 3.0のさまざまな利点を生かしつつ、Web 3.0ならではのリスクも十分に考えたセキュリティ対策が欠かせない。

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