AI技術の用途はさまざまだ。中でもセキュリティのためのAI技術は、特に今後の成長が見込めるという。それはなぜなのか。
昨今、AI(人工知能)技術は新しい問題の解決に実戦投入されている。レストランチェーンを運営する企業においては、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受けて、顧客の行動パターンが大きく変化した。
レストランでは、いまや注文はモバイルアプリケーションで受けて、キッチンに直接連絡されるようになっている。こうした状況においては、注文の優先順位付けにおいてAI技術が大いに役立つ。この場合のROI(投資対効果)は、パンデミックによる需要の落ちこみを取り戻した時点で節約できた時間で測定する。
もう一つ例を挙げよう。銀行では、在宅勤務中の従業員も社内システムへのアクセスが必要になっており、大手銀行は利用者の行動の変化に対処する必要に迫られている。
テレワークにおけるセキュリティの脅威の高まりや、VPN(仮想プライベートネットワーク)をはじめとするネットワークリソースの負荷増大への対策として、AI技術の導入によりデータを監査し、対処が必要な重要イベントを識別する方法がある。事前の定義に沿って脅威への対処を自動化する「SOAR」(Security Orchestration, Automation and Response)は、その対策として有望だと言える。
セキュリティのためのAI技術への投資の未来は明るい。経済が引き続き回復力を示す中、セキュリティ機能を強化したい大手ベンダーによるAI技術関連のスタートアップ(創業間もない企業)を対象とした投資や買収は続くとみられる。厳しい労働市場が続くと、企業は乏しい人的リソースで問題に対処する方法を見つける必要性が出てくる。これに、世界中で高まる一方のセキュリティの脅威を考え合わせると、企業がより良いAI技術に頼るのは必然であり、いずれはAI技術によるセキュリティへ投資することになる。
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