アムステルダム大学とマサチューセッツ工科大学が、データ分析を活用してSDGsの達成を目指す非営利団体を設立した。団体設立に至った理念とは。共同設立者に聞いた。
アムステルダム大学(UvA:University of Amsterdam)経済学部と、マサチューセッツ工科大学(MIT:Massachusetts Institute of Technology)は、コンサルティング会社ORTECと提携して、非営利団体Analytics for a Better World Institute(以下、ABW Institute)を設立した。ABW Instituteはデータ分析を活用して、国際連合(国連)が定める「SDGs」(持続可能な開発目標)の達成を目指す組織を支援する。
データ分析を使ってSDGsの達成を支援する取り組みは、ABW Instituteの共同設立者ディック・デン・ヘルトフ氏が、ある2冊の書籍を読んだことから始まった。
ヘルトフ氏はUvAでオペレーションズリサーチ(計画に対して最も効率的な選択を導き出す手法)分野の教授として教壇に立っている。それらの書籍を読んだ同氏は「データ分析はもっと広い範囲で使用可能であり、使用する必要がある」と実感したという。
その内の1冊はハリー・R・ルイス氏の著書『Excellence Without a Soul』だ。ヘルトフ氏によると、ハーバード大学(Harvard University)の元学部長であるルイス氏は、高等教育機関の教職員に対して厳しい見方を示している。ルイス氏は高等教員期間の教職員について、「職業人生に必要なことを学習者に教えている」ことは認めているものの、「指導の中で学習者に十分な刺激を与えている」とは考えていないという。
ヘルトフ氏が読んだもう1冊は、キャシー・オニール氏の著書『Weapons of Math Destruction』だ。昨今、保険料の算出や信用度の判断といった生活に関わる判断に、データ分析を活用する動きがある。その判断の基になるアルゴリズムに、明確な規制やルールがないと、結果的には不平等を生むのではないか――。同書はそう問題提起する。「Weapons of Math Destructionは、データサイエンスの負の側面を取り上げている。必読の良書だ」とヘルトフ氏は言う。
データ分析の影ではなく光に焦点を当てる形で、ヘルトフ氏は「より良い世界を実現するための分析」(ABW:Analytics for a Better World)という言葉を生み出した。これをきっかけに、同氏はデータ分析を使用して、国連が定めるSDGsの達成や「NGO」(非政府組織)の活動を支援する新たな取り組みを始めた。
中編は、学生がABWの概念を歓迎した理由を紹介する。
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