不振が続いている中国のスマートフォン市場だが、全てのベンダーの販売が落ち込んでいるわけではない。勝ち組の1社がAppleだ。何が同社の成長を支えているのか。
北京や上海といった主要都市のロックダウン(都市封鎖)を背景に、落ち込みが続く中国のスマートフォン市場。調査会社Canalysによると、2022年第2四半期(4月〜6月)の出荷台数は前年同期比で1割ほど減った。ただし、スマートフォンベンダーの中国における事業展開は明暗が分かれる。好調だったのはどのベンダーなのか。
Canalysによると、2022年第2四半期の出荷台数で上位5社に入ったベンダーのうち、前年同期比で出荷台数を増やしたのはHonor Device(88%増)とApple(25%増)のみだった。特にHonor Deviceの伸びが顕著だった。Canalysは、Honor Deviceの上昇は一時的なものなのか、今後も勢いを維持できるのかについて2022年が試金石になるとみている。
Appleについては、同社にとって重要な中国の主要都市で厳しいロックダウンが実施されたものの、ハイエンド市場で販売が伸びたとCanalysは説明する。積極的なマーケティング施策も奏功し、高収入の消費者を巻き込むことができたという。
Canalysのアナリストのアンバー・リュー氏は、「中国ベンダーもハイエンド市場向けスマートフォンの投入を活発化させている」と指摘する。例えば、vivo Mobile Communicationの「vivo X80」、OPPO(Guangdong OPPO Mobile Telecommunications)の「OPPO Find X5」、Honor Deviceの「Honor Magic4」、Xiaomi「Xiaomi 12S Ultra」がそれだ。これらは、チップセット(集積回路の集まり)やカメラのスペックを高めることで、使い勝手の向上を図っている。中国ベンダーがハイエンド市場向けに注力するのは、「それが利益を出して成長を持続する唯一の道だとベンダーが認識しているからだ」とリュー氏は話す。
リュー氏によれば、中国のスマートフォンベンダーは通信によって「ヒトやモノをつなぐ」戦略も推し進めている。そのためにはユーザー数を増やすのが不可欠で、その切り札としてハイエンド市場に注力しているということだ。
後編は、世界のスマートフォン市場の動向に焦点を当てる。
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