“眼科の受診控え”による視力低下を「データ」で防いだ英国眼鏡店の執念コロナ禍の受診控えを防いだ眼鏡店のIT戦略【前編】

英国で新型コロナウイルス感染症の拡大が始まった頃、眼鏡チェーン店Specsaversは社内データを使って、ロックダウン中に眼科の受診控えが起きていることを突き止めた。この分析結果によって起きた変化は。

2022年12月15日 05時00分 公開
[SA MathiesonTechTarget]

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 英国の眼鏡チェーン店Specsaversは、臨床転帰(治療の経過や結果)に関するデータを分析。英国で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による最初のロックダウン(都市封鎖)が起きていた間に、総合病院の眼科医への患者紹介数が急速に減少していることを突き止めた。

 「これはデータチームが特定した情報ではなく、店舗で働く視能訓練士が突き止めた情報だ」。Specsaversを運営するSpecsavers Optical Groupでグローバルデータ担当者を務めるヘレン・マニオン氏は、2022年9月下旬に英国ロンドンで開催されたイベント「Big Data LDN 2022」の基調講演でこう語った。

“眼科受診控え”による視力低下を「データ」で防ぐ

 Specsaversは視能訓練士が分析したデータを、緑内障に関する慈善団体Glaucoma UKと国民保健サービス(NHS:National Health Service)の関連施設に公開。ロックダウン中に通常の眼科予約を継続できるようにする動きに貢献した。「おかげで何千人もの人が視力を失わずに済んだ」とマニオン氏は話す。

 「この事例はデータが当該分野の専門家の手に渡ることの価値を示している」とマニオン氏は主張する。同氏によると、Specsaversの視能訓練士が分析したデータは、もともと総合病院への紹介状況を確認するために用意していたものだった。視能訓練士はこのデータを“不測の事態”に対処するために利用した形だ。「現場のスタッフは、思ってもみないやり方で能力を発揮することがある」(同氏)

 Specsaversは店舗スタッフ向けに、さまざまな情報を提供するためのツールを用意している。ユーザーエクスペリエンス(UX:ユーザー経験価値)テストを実施してから、カスタマージャーニー(顧客が購入・契約に至るまでのプロセス)に基づいてツールを設計したという。マニオン氏の説明によれば、店舗スタッフはこのツールを使って、視力の測定結果が一定水準を下回ったときの対処に関する、顧客向けのアドバイスを参照できる。

 マニオン氏は「店舗スタッフに提供している情報は多過ぎる可能性がある」と考えている。対策として、機械学習を利用してスタッフが毎日使うツールに関連情報が表示されるようにしたいという。「ツールを使うスタッフには、データを使っていることを意識させたくない。スタッフが重視しているのは、結果を出すことだ」(同氏)


 後編はSpecsavers Optical Groupがデータ分析の文化を定着させるために取り組んでいることを解説する。

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