OpenAIへの投資を通じて、AI技術を自社の製品やサービスに組み込むMicrosoft。CEOのサティア・ナデラ氏は、両社の連携がもたらす“未来のオフィスツール”をどう捉えているのか。
Microsoftによる、人工知能(AI)ベンダーOpenAIへの“100億ドルの投資”が実を結びつつある。OpenAIの技術を導入することで、Microsoftは自社の検索エンジン「Bing」を改良した。Microsoftは今後、「人の作業を制限しない範囲で業務を支援するAI技術を、自社のオフィススイートに搭載する」という課題に取り組む構えだ。
Microsoftが明らかにした、AI技術による“オフィス業務の生産性の新時代”とは具体的に何なのか。
2023年3月、MicrosoftのCEOであるサティア・ナデラ氏は、ビジネス向けSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)「LinkedIn」のライブ配信で、同社が進めているAI技術活用の取り組みを語った。
ナデラ氏は、マウスやGUI(グラフィカルユーザーインタフェース)、「iPhone」などの発明を、ITの発展における決定的瞬間として例示。「これらの発明は、人とコンピュータがより密接な共生関係を築くことに貢献した」と述べる。
「ITは新時代を迎えている」とナデラ氏は言い、「ここ数カ月の間に、使いやすいインタフェースと共に、強力な新しい自然言語処理モデルが登場した」と続ける。その上で同氏は「次世代のAIツール(AI技術を組み込んだツール)は、私たちが慣れ親しんできたAIツールとは根本的に異なるものになる」と予測する。
ナデラ氏は、既存のAIツールを「自動操縦システム」だと表現する。MicrosoftがAIツールの提供において目指すのは、自動操縦システムではないという。
「AIツールは、自動操縦から『副操縦』に移行している」とナデラ氏は説明する。次世代のAIツールを構築する上でMicrosoftは、「意識的に人を中心に据える製品設計」をしたという。「今こそ次のステップに進むときだ」と同氏は力説する。自然言語は、人にとって極めて普遍的なインタフェースだ。「自然言語を通じて、強力なAIモデルと有能な副操縦士を利用できるようになれば、コンピュータがわれわれの思考や計画、行動を助ける方法が根本的に変わる」(同氏)
エンドユーザー向けのコンピュータは、キーボードやマウスと切っても切れない関係にある。「その関係と同じように、エンドユーザーは今後、副操縦士としてのAIツールや自然言語を使ったプロンプト(質問や指示)のないITを想像できなくなる」とナデラ氏は語る。
次回は、MicrosoftがOpenAIの技術を使って、自社製品/サービスにどのような改良を加えたのかを解説する。
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