変化するサイバー攻撃手法【第2回】
「Officeマクロ」原則ブロックが生んだのは“安全性だけ”ではなかった
「Microsoft Office」のマクロがデフォルトで無効になったことにより、Officeマクロを悪用したサイバー攻撃は減少傾向にある。攻撃者は新しい手法として、何に目を付けているのか。
Microsoftのオフィススイート「Microsoft Office」のマクロ(アプリケーション自動操作機能)は、デフォルトでブロックされるようになっている。メールセキュリティベンダーProofpointの調査によると、この変更によって、サイバー犯罪コミュニティーに大きな変化が生じている。
「Officeマクロ」原則ブロックでも安全とは言い切れない?
併せて読みたいお薦め記事
連載:変化するサイバー攻撃手法
攻撃を防ぐために知っておくべきこと
2023年5月、Proofpointはサイバー攻撃手法に関する調査報告書「Crime Finds a Way: The Evolution and Experimentation of the Cybercrime Ecosystem」を公開した。報告書は、2021年1月~2023年3月の攻撃キャンペーン(一連の攻撃)を基に同社の研究者が調査を実施した。
プログラミング言語「Visual Basic for Applications」(VBA)向けマクロ(VBAマクロ)と「Microsoft Excel Version 4.0」(以下、Excel 4.0)向けマクロ(XLMマクロ)を悪用した攻撃キャンペーン数は、2021年にそれぞれ約700件観測された。2022年、この数はどちらも66%現象。2023年前半には、観測された攻撃の中にOfficeマクロを悪用したものはほとんどなかった。
「Officeマクロの悪用が減少した結果、サイバー犯罪コミュニティーにおいて大きな変化が起きた」と話すのは、Proofpointの研究者であるセレナ・ラーソン氏とジョー・ワイズ氏だ。
Proofpointは独自のテレメトリーデータ(システム稼働状況に関するデータ)を用いて、1日当たり数十億件のメールを分析。その結果、攻撃者は古い形式のファイルを用いた攻撃や、攻撃を連鎖させる攻撃など、さまざまな手法を用いてペイロード(マルウェアの実行を可能にするプログラム)の配信を試みていたことが分かった。それによると攻撃者は、初期侵入にメールを使用する際の効果的な手法を見つけるために試行錯誤をしている段階だ。Officeマクロに代わる安定した攻撃手法はまだ出現していないという。
高度な技術を持つ攻撃者は、マルウェアを配信するための新しいTTPs(Tactics, Techniques, Procedures:攻撃者の戦術、技法、手順)を開発し、繰り返しテストしている。このような手法で開発された新しい技術は、サイバー犯罪コミュニティーの中で広まる傾向があるという。新しい技術を用いた攻撃が観測された後、数週間から数カ月以内に他の攻撃主体が同様の攻撃を実施し、先駆者に追従する動きが見られる。
第3回は、Officeマクロを悪用する手法に代わって、2022年半ばから拡大している攻撃手法を解説する。
Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術
米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[フォーティネットジャパン合同会社] 複雑化しがちな「SASE運用」 IT・医療・金融などの事例に見る導入成功の秘訣 -
製品資料
[フォーティネットジャパン合同会社] 「SD-WAN」導入で失敗しないための5つの重要事項 -
技術文書・技術解説
[フォーティネットジャパン合同会社] VPNの代替候補「ZTNA」を理解できるようになる“3大要素”とは? -
事例
[フォーティネットジャパン合同会社] すぐ分かる「SD-WAN」選定のポイント 成功企業はどんな成果を出した? -
製品資料
[SCSK株式会社] 「Dropbox」管理・運用の困りごと解決ガイド
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
2
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
3
みずほ証券が「液冷サーバ」を採用 1日3.6億件の計算を支えるための要件
-
4
Microsoft月例パッチ1400件超で過去最多 「限界点」を迎えたパッチ管理
-
5
被害額は過去最高額 それでも「サイバー犯罪者が捕まらない」3つの理由
-
6
米国防総省で300万人分の個人情報が流出 その「意外な原因」と教訓
-
7
いまIBM iエンジニアが直面する「5つの技術的課題」とその解決策
-
8
Microsoft 365の「テナント統合・分離」問題 手戻りのない道を選ぶ秘訣とは?
-
9
AI時代のITインフラ戦略とは? 販売代理店が知っておきたい最新トレンド
-
10
巨大組織の「アジャイル」を加速させる オリックス生命が選んだ、開発状況を見える化する戦略的ツールとは?
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
3
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
4
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
5
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
6
AI駆動開発のスピードと安全性を両立 「品質・セキュリティ管理」の実践ガイド
-
7
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
8
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
9
「標的型攻撃メール」事例・サンプル集
-
10
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー