“人間らしいメール”作成だけじゃない、OpenAIが明かすChatGPT悪用の実態生成AI悪用を活発化させる犯罪集団

ビジネスに溶け込みつつある「ChatGPT」は、サイバー犯罪者にとっても“便利なツール”なので注意が必要だ。ChatGPTはどのように悪用されているのか。調査から読み解く。

2024年12月09日 05時00分 公開
[Alexander CulafiTechTarget]

 人工知能(AI)技術ベンダーOpenAIは、同社チャットbot型AIサービス「ChatGPT」がサイバー犯罪で悪用されている実態を調査した。同社は2024年1月以来、ChatGPTを悪用しようとした行動を20件以上阻止したという。ChatGPTはさまざまな組織の業務で幅広く活用され始めている。事業を守るためには、どのように悪用されているのかを知っておくことが肝要だ。OpenAIの調査で分かった、ChatGPT不正利用の実態とは。

フィッシングメール作成にとどまらない、ChatGPT悪用の実態

 OpenAIは2024年10月、ChatGPT不正利用の実態をまとめた報告書「Influence and cyber operations: an update」を公開した。ChatGPTを悪用した例として、フィッシング攻撃用メール作成の他、マルウェア開発などが挙がった。SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)「Instagram」や「LinkedIn」から標的の情報を収集したり、多言語に翻訳したりするツール開発にもChatGPTが悪用されたとOpenAIは説明する。

 ChatGPTを悪用している主なサイバー犯罪集団は以下の通り。

SweetSpecter

 ChatGPTを悪用したサイバー犯罪集団の一つが、中国を拠点にしているとみられる「SweetSpecter」だ。OpenAIによると、SweetSpecterはChatGPTを使い、第三者のセキュリティ製品に不正コードを挿入する攻撃活動をしている。それに加えて、OpenAIを標的にした攻撃も仕掛けたと同社は説明する。ただし、攻撃は成功しなかったという。

CyberAv3ngers

 もう一つ、ChatGPTを悪用していることが分かったサイバー犯罪集団は「CyberAv3ngers」だ。この集団はイラン政府の関連組織で、重要インフラを狙った攻撃活動で知られる。OpenAIによる、CyberAv3ngersは以下の活動にChatGPTを悪用している。

  • 脆弱(ぜいじゃく)性調査
  • マルウェア開発
  • インターネットに接続しているポートの調査

Storm-2035

 OpenAIによると、ChatGPTは選挙干渉にも悪用されている。例えば、イランを拠点とするサイバー犯罪集団「Storm-2035」は2024年11月の米大統領選挙の前、偽情報を発信するためのWebサイトを、ChatGPTの力を借りて作成したという。「Storm-2035は政治の偽情報に、ChatGPTで生成したファッションや美容のコンテンツを組み合わせることで本物らしく見せかけた」(OpenAI)。ChatGPTを悪用したこうした手口が成功しているかどうかについては把握していないという。

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