活版印刷術と併せて考えるソーシャルメディアの歴史的意義IT変革力【第37回】

次世代インターネット技術の中でも注目を浴びているWeb2.0が登場して以来、SNS、ブログなどで注目されているソーシャルメディアは、今までとは違うインターネットの姿を映し出し始めました。歴史上、さまざまな技術が生まれる度に革新が起こってきましたが、ソーシャルメディアはどのような意義を持っていくのでしょうか。

2007年02月14日 15時40分 公開
[TechTarget]

 インターネットの次世代としての動きとしてWeb2.0が注目され、その中でも穏やかなネットコミュニティ醸成の基盤となるソーシャルメディアが注目されています。ブログやSNS、ウィキ(Wiki)、ソーシャルブックマーク、ソーシャルニュースなどがそれに当たると言われています。今回は、ソーシャルメディアの意義を少し高い視点から考えてみましょう。

 これまで、インターネットのコミュニティは荒れ狂う西部劇の舞台のような、安全性の低いアングラな部分を持つ世界と考えられてきました。それが、Web2.0の中でのソーシャルメディアの出現によって大きく変わり始めています。

情報通信革命の本質を考えよう

 情報通信革命がもたらしたと言われているグローバル経済(別名、情報経済とも呼ばれている)の本質を考えるにあたって、筆者は、少し古いですがマルクス経済学の基本的な視点を当てはめています。マルクス経済学の基本は、「全ての歴史は生産力=経済力と生産関係の矛盾の繰り返し」ということでした。すなわち、経済が発達するためには、生産関係=社会的なインフラ整備が必要であるということを意味します。そして、生産関係において最も重要なものに、「交通や通信、運輸領域の整備」が挙げられます。これには、自動車やジェット機による交通サービスだけでなく、コミュニケーション技術の発展や整備は決定的な重要性を持っているという意味から、テレビや新聞などのマスメディアなども含まれます。

 そして多くの社会学者は今、コミュニケーション技術の発展や整備という視点から、グーテンベルグによる活版印刷術の発明と普及の過程をインターネットの発達、普及の過程と比較検討し始めています。

 これは、1960年代に「メディアは(個人や社会を変える)マッサージである」と主張したカナダの学者、マーシャル・マクルーハンの発想により、インターネットの社会的インパクトを理解しようとするものです。筆者は、それがソーシャルメディアの登場により現実味を帯びてきたと考えています。

活版印刷術は封建社会を破壊し、近代市民社会を醸成した

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