ビジネスアナリストにプロジェクト管理者を兼務させようとしても、会社にとって望ましくないハイブリッド従業員が出来上がるだけだ。
ビジネスアナリスト(BA)とプロジェクトマネジャー(PM)の責任を混ぜ合わせたらどうなるか。一言で言うと、「めちゃくちゃ」だ。コンサルティングの仕事をしていると、このように職務をごた混ぜにするケースに頻繁に遭遇する。こうした傾向がプロジェクト管理の成功につながることはない。
1人の人物に両方の職務を担わせている会社が多いのは、それぞれの職務で必要とされる独特のスキルについての理解が欠けているからだ。PMとして理想的なのは、大きな視点で物事を考え、全体の中のすべての部分に目を向けることを好む人物だ。こうした人物は、すべての部分がいかに組み合わさって1つになり、プロジェクト全体の方向性が形成されているかを見渡すことに長けている。
一方、デキるBAは極限まで細部にこだわる。事業上の重要機能にフォーカスし、ステークホルダーの懸念にレーザーのごとく切り込み、個々の具体的な質問に答えたいと考える。そのためなら、BAはスケジュールやコストのことなど気にしない。それよりも、製品のニーズとスペックを追求し、ビジネスサイドで求められるものを達成させることに余念がない。デキる事件記者と同様に、効率的なBAは草の根を分けるがごとく、各チームメンバーに給料に見合った仕事をさせようと気を配る。
以下に挙げる3つの事例は、われわれが実際に遭遇したケースだ。何をさせてもうまくやる人物を見つけるのが難しい理由はこれで説明できる。
職務混合で最もありがちな問題は、その役割に従事している人物が、両方の部分に関して均等な能力を持っていないことだ。その結果、両方の役割を担わされた従業員は、例えば製品開発の1つの側面を深く注視するような細部指向の職務では優れた手腕を発揮してキングになっても、プロジェクト全体を率いることではジョーカーと見なされることになる。
中には両方の職務について「平均的」という人物もいるが、こうした人材はそれぞれの職務を行ったり来たりして両方とも平均以下にしかこなせない。残念ながら、このアプローチでは製品とプロジェクトに最低限にしかスポットを当てることができず、この「C」評定の人物はプロジェクト管理能力は平均的(平凡とも言う)ということになるが、プロジェクトを危機にさらしてしまうかもしれない。
両方の職務をこなすことができるスーパースターも確かにいる。しかし問題はある。これは2人の人間がやるべき仕事だ。スーパースターは両方の仕事をうまくやるため週に80時間働くしかなくなるが、そんなペースを長い間続けられるはずがない。
従って、BAとPMの役割を1人の人物の職務として「混ぜ合わせる」ことをクライアントから指示された場合、われわれは以下のような対処法を勧めている。
役割定義の重要性を管理職に理解させる。それぞれの職務には別々の強さとスキルが必要だ。1人ではなく2人にこれらの役割をこなしてもらうことを、管理職に提案しよう。
2つの別々なキャリアパスを描き、昇進する道はほかにないというだけの理由で、1人の人物が2つの役割を担わされないようにする。プロジェクト管理者になることは、BAからの昇進にはならない。これにはまったく別のスキルが必要だ。
1人を2つの職に従事させて成果を上げようとするのなら、その従業員が不得意とする方の職務について、補助役のメンターを配置する。
本稿筆者のマイケル・ビンヘ、ミッシェル・バーク両氏は、米ミネアポリスの経営コンサルティング会社、Trissentialのプリンシパル。
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