東武百貨店は2007年3月、「Microsoft SQL Server 2005」を基盤とした顧客分析システムを稼働させた。並列分散処理によりSQL Serverのスケーラビリティーを徹底して高め、従来のホスト環境では不可能だった現場のスタッフによる大量データの高速集計を可能にした。新システムによる顧客分析を活用した売り場作りが、早くも功を奏し始めている。
東武百貨店は池袋本店(東京)を中心に、関東圏で4店舗を展開する百貨店だ。特に池袋本店は国内で2番目に広い売り場面積(約8万3000平方メートル)を有し、年商約1300億円(2006年度実績)に達するなど、国内屈指の巨艦店だ。大消費地の渋谷―新宿―池袋間を結ぶ地下鉄新線「副都心線」が2008年6月に開業予定で、域内へ消費者の流入が見込まれる一方、百貨店同士の競争が激化する見通しとあって、同社としても顧客満足度を高める施策に余念がない。
その施策の1つとして東武百貨店は、2007年3月、新しい顧客分析システムを稼働させた。20年ほど前からIBM製のメインフレームで運用してきた営業系基幹システムを、オープン系へと刷新すべく、2年がかりで続けているプロジェクトの一貫だ。同社情報システム部長の葛馬 正記氏は、「80年代は業務の効率化、90年代はサプライチェーンの自動化と、われわれのIT活用の主眼は移り変わってきましたが、今やIT活用も『顧客中心主義』指向で、お客様のためにITを使って何ができるのかを考えています」と話す。
東武百貨店がメインフレームのリプレースへと踏み切ったのは、現在の“ビジネススピード”にシステムが追つかなくなったためで、特に分析機能でその傾向が顕著だったという。
顧客のカード会員化を進める百貨店業界では、顧客の購入履歴を分析し、その結果を品ぞろえや売り場作り、ダイレクトメール(DM)、催事などの販促策へ迅速、的確に反映させることが重要になっている。
だが新システムへの移行前は、システムの性格上、店舗ごとにデータベースが分かれていたり、各利用部門の分析リクエストについて両部門で協議が必要な場合があるなど、今となっては無駄と言わざるを得ない非効率な状況が続いていた。年間600件ものデータ抽出を行う情報システム部門としても負荷が大きく、スタッフが直接操作できるオープン系システムが求められていたのだ。
そこで今回、販売/購買データや商品/顧客マスタなどを管理する営業系基幹システムをUNIXベースの業務パッケージと「Oracle Database」の組み合わせでオープン化するのに合わせ(2007年9月に稼働予定)、それらのデータをフロントで活用する顧客分析システムを先行稼働させた。採用したパッケージは、リゾームの流通・サービス業向けBIソフト「戦略会議シリーズ」、プラットフォームは「Microsoft Windows Server 2003」(以下、Windows Server)と「Microsoft SQL Server 2005」(以下、SQL Server)だ。
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