顧客の信頼を得るために、まず上層部が従業員の信頼を得る必要がある。とはいえ、従業員に信頼されることは必ずしも簡単ではない。
質問:顧客を増やし、わが社のブランドに愛着を持ってもらうため、顧客サービス担当者には顧客と心を通わせてほしいと考えています。どうすればそれができますか。
従業員に顧客と心を通わせるようにさせる一番のこつは、彼らが自分の仕事に心から打ち込めるようにすることだろう。仕事そのものに満足感を感じてもらう必要があるが、これは上から押し付けられるものではない。企業文化、つまり従業員が監視されていないときに何をしているかは、従業員の行動を促す第一の要因となる。常に顧客のことを最優先に考えて行動し、一貫して顧客の視点から物事を見ようとする社風があれば、顧客と心を通わせる道は半ばまで来ているといえる。
顧客の信頼を得るために、まず従業員の信頼を得ることを提案したい。従業員に信頼されることは必ずしも簡単ではない。階層構造を持つトップダウンの組織というのは、うまく信頼が醸成される仕組みにはなっていないからだ。
ほとんどの企業上層部で誠実、信頼、開かれた態度の妨げとなる要因として、例えば部下からの反対に対して上司が見せる抵抗がある。トップダウンの組織では、意思決定は上層部の手に委ねられるが、これには上司の知恵と指導力の方が上だという前提が含まれる。しかし可能な限り衝突を避けようとするのは人間として自然な傾向だ。上司はあえて問題に耳を傾けず、部下はあえて上司と衝突しようとはしないだろう。その結果、情報は組織階層の上部に伝達されるほど、不満やトラブルを最低限に抑える形でふるいにかけられる(例えば上層部を怒らせないように編集されるなど)。
加えて、大多数の企業では、管理職の実績手当は実績そのものではなく、期待に照らした実績が基になる。実績と計画を突き合わせる制度は、簡単に「ゲーム化」できる。管理職が実績手当を受け取る条件として目標を設定すると、「給料を払ってうそをつかせる」ことになるのは、インセンティブと予算作成についての研究でも示されている。
優れた実績に報いることは、会社全体の経営向上のための重要な管理手段であり、仕組みとして欠かせない。しかし、だまされてはいけない。実績手当は、特にチームでなく個人が対象となる場合、組織としての誠実感、公開性、信頼を腐食させる作用を持つのが常だ。管理職が自分の目標を達成しようとした結果、会社の業績が向上するのなら、代償を払う価値は十分あるだろう。しかし、注意深く管理しないと実績手当は信頼の文化に背くものになりかねない。
落とし穴はあるにしても、顧客サービス担当者が顧客との間で心の通った関係を築くことを奨励するようなやり方で組織を運営することは可能だ。そして真に成功している企業はこれをやっている。例えば国際運輸業大手UPSのドライバーと顧客との関係を見るといい。UPSのドライバーになると、大部分がほかのUPSドライバーの期待によって形成されたあらゆるたぐいのサービスが存在する。これは顧客の信頼を獲得してそれを保つことに根ざした、前向きな社風のたまものだ。
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