コストを抑えながら成長のペースを速める手段として、特に中堅企業がSaaSに注目していることが調査の結果明らかになった。
中堅企業は大企業や中小企業に比べ、SaaS(Software as a Service)を積極的に取り入れていることが、新しい調査で明らかになった。安価な手段を通じて急成長したいと願う意欲を示すものだ。
「SaaSはコストを抑えながら企業の能力向上のペースを速める手段だ。ここに位置するのが中堅企業だ」。調査を実施した米コンサルティング会社Saugatuck Technologyのマネージングディレクター、ブルース・ガプティル氏はこう解説する。
「中堅企業は成長のために投資したいと思っている。そこから今、何が得られるのか」
SaaSの完全導入比率が最も高いミッドマーケットに対し、巨大組織ではITの規模と構造故にもっと柔軟なテストができるとガプティル氏は言う。大企業のIT部門なら、プログラムを特定分野または部局のみに限ってテストするゆとりがある。一方、小規模企業ではITにそれほど力を入れることができず、SaaSに届くに至っていない。
ミッドマーケットのIT部門はコスト削減と業務簡素化を目指し、全社的にSaaSプログラムを導入する独特な立場にある。
実際、中堅企業のCIOなど業務系、IT系の経営幹部は「ほかの規模の企業幹部よりもSaaSに詳しい傾向がある」ことが、Saugatuckの5月の調査で示された。
調査では従業員500人未満の企業のうち85%がSaaSについて「知っている」「よく知っている」「非常によく知っている」と答えた。この比率はほかの規模の企業のIT幹部に比べ20%も高かった。
米モバイルエンターテインメント/携帯電話小売業者Car ToysのCIO、トーマス・ロックウッド氏は恐らく「非常によく知っている」部類に入る。同氏は米PivotLinkが提供するSaaSのBIソフトウェアを運用して5年になる。
「当社の基幹事業ではない部分はすべて面倒を見てもらうようになり、本当に楽になった。ユーザーにとって違いはないので、IT部門が対応する必要はなく、負担が軽くなった」とロックウッド氏。Car Toysは従業員1200人強、IT部門の陣容は20人。
Car Toysは、サードパーティーがホスティングするOracle FinancialsのSaaSバージョンも使っている。会社が使っているアプリケーションを変更すると決めた場合、ロックウッド氏はほかのSaaSアプリケーションも検討する予定だ。現在使っている2つの製品には満足しているという。
「PivotLinkのメリットは使いやすさ。Oracleのメリットはコスト削減にある」とロックウッド氏。
従業員500人未満の企業のIT幹部は95%が現在使っているSaaSアプリケーションに満足していると答え、この比率も全規模の企業平均の84%を上回った。
「SaaSはミッドマーケットの現象だと言いたいわけではない。ただ、SaaSの採用にはミッドマーケットが最も積極的ということだ」(グプティル氏)
全規模の企業を通じ、40%はSaaSアプリケーションを少なくとも1つ使っていると回答した。Saugatuckの予想では、従業員100人以上の企業でこの数字は2012年までに70%に達する見通しだ。
もちろん、この傾向に乗って利益を上げたいと望むベンダーは、タイムカード管理からフル仕様のERPまでのあらゆるSaaSアプリケーションを販売しているが、成功の度合いはまちまちだ。
グプティル氏によると、IT管理者がまず導入するのはCRMとコラボレーションソフトのSaaSアプリケーションであることが調査で分かった。
成功の理由は「ベンダー側で手掛けているSaaSのほとんどがこの分野だからだろう」と同氏。
SaaSで現在あまりうまくいっていないのはERP、SCM(サプライチェーン管理)、コンプライアンス/リスク管理プログラムで、その理由についてはグプティル氏も首をひねっている。
「これらは会社としての目標の圏外にありながら、やらなければならない分野だ。なぜアウトソーシングしないのだろう」
SaugatuckはCIOがこうした分野のSaaSを敬遠する理由を調べるため、あらためて調査を実施する予定だという。
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