システムやデータの中には、有事の際に可能な限り迅速に復旧させなければならない種類のものがある。そうしたミッションクリティカル領域をカバーするデータ保護手段が「CDP」(継続的データ保護)だ。
ITシステムの中には、24時間稼働し続けなければならないものがある。例えば金融や証券を扱うシステムや、電気・ガスといったライフラインを運用するシステムなどである。これらのシステムがもし完全に停止してしまうと、ビジネスや社会インフラに多大なインパクトを与えてしまう。そのため、万が一停止してしまった場合でも、すぐに復旧できる体制を整えておくことが求められる。
もちろん、そのようなシステムはもともと非常に堅固に構築されている。しかしそれでも、災害が発生した場合などに備えて遠隔地に予備システムを用意しておき、本番システムがダウンした際には即座にフェイルオーバーしてシステムの稼働を再開する必要がある。また、もしシステムデータが壊れてしまった場合は、データ消失に伴う損害金額を最小限に食い止めるためにも、可能な限り直近のデータに復旧することが求められる。
このような、非常に重要なシステムのデータを守るためには、一般的なバックアップの手法では事足りないので、別の手法を検討する必要がある。今回説明する「CDP(Continuous Data Protection)」もその1つである。
CDPは、日本語では「継続的データ保護」と呼ばれる。まず初めにデータの複製を作成し(※)、その後は常にデータを監視して変更点を保存しておくことで、過去のいかなる時点のデータにも戻すことが可能な仕組みである。初めに作成した元データの複製と、その後の変更分のデータを合わせることで、ある特定の時点のデータ状態に比較的短時間のうちに復旧させることが可能である。製品によって多少の違いはあるが、早い場合はわずか数分間でシステムを復旧・再稼働することができる。
※ データの複製を作成せずにCDPを実現するタイプの製品も存在する。
CDPの仕組みは、前回「“スナップショット”と“レプリケーション”で重い処理はストレージ任せ」で説明した「レプリケーション+スナップショット」の組み合わせに似ている。しかし、スナップショットは一定の時間ごとにその瞬間の状態を取っておくのだが、CDPではすべての変更点を記録しているところが大きく異なる。デジタルカメラに例えると、スナップショットは連写機能のようなもので、どうしてもとらえられない瞬間が出てくる。それに対してCDPはムービー機能で撮影するようなものであり、すべての瞬間が記録される。こうした仕組みによって、システムに障害が発生してもデータの損失はほぼゼロとなり、好きな時点にデータを巻き戻すことができる。
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