家庭用ゲーム機の進化に伴い、より高品質かつ短納期での開発が求められるゲームソフト開発だが、開発プロジェクトの規模の拡大に伴う課題も多く存在する。セガが取り組んだ改善策を紹介する。
1983年に任天堂の「ファミリーコンピュータ」が登場し、社会現象を巻き起こしてから約26年。家庭用ゲーム機は飛躍的に進化を遂げ、現在の最新機であるソニーの「プレイステーション 3」(以下、PS3)、マイクロソフトの「Xbox 360」などでは、CGを駆使してまるで実写のようなリアルな映像が楽しめるゲームタイトルが次々と生み出されている。
こうした家庭用ゲーム機の進化に伴い、ゲームソフトの開発を手掛けるメーカーにとっては「より高品質なゲームタイトルを、より短納期に開発する」ことが求められるようになった。そのため、その開発プロジェクトも従来とは比べものにならないくらい規模が大きくなった。これが「開発工数とプログラムコード行数の増大によるバグの大量発生」など、さまざまな問題を引き起こしており、ゲーム業界全体の重大な課題となっている。
こうした課題の解決に積極的に取り組み、ゲーム開発の効率化を実現したのがセガである。セガといえば、パズルゲーム「ぷよぷよ」を始め、格闘ゲーム「バーチャファイター」シリーズ、ロールプレイングゲーム(RPG)「ファンタシースター」シリーズ、アクションアドベンチャー「龍が如く」シリーズなど、幅広いジャンルで多くの人気タイトルを抱えている。同社では現在、年間10本以上のゲームソフトを自社内で開発している。
しかし、次世代機が登場した当時の開発プロジェクトでは、前述したような問題が山積していたという。同社はどのようにこうした問題を解決したのだろうか。
ゲームソフトの開発プロジェクトは、まず企画を立ち上げて、ゲームの世界観を構成する各素材のデザインとそのデータ化、プログラミングを進める。その後に、チェック部門によって動作検証などのバグチェックが行われる。
「プロジェクトが大規模になればなるほど、バグの量も増加するため、チェック部門の作業負荷が増大し、最終的なゲーム品質や納期にも影響を及ぼす恐れがある」と語るのは、CS研究開発本部 CS R&D推進部 部長の庄司 卓氏だ。
セガではこうした事態を避けるためにも、開発段階でのバグのチェック体制を整備していた。
しかし、実際には、ソースコードのコンパイル後に構文チェックを行う、またペアプログラミングで開発を進めるなど「手作業でのバグチェックが中心となっていた」と同氏は当時の状況を振り返る。
従来のゲーム機では、このチェック体制でも対応できていた。しかし、次世代ゲーム機の大規模開発プロジェクトではプログラムコードが100万行を超えることもあるため、手作業のバグチェックではもう限界だった。その結果、チェック段階でも想定以上のバグが発生するようになってしまったのである。そこで、同社では解消策として静的解析ツールを導入し、バグチェックの自動化と早期段階でのバグ発見・改修を目指した。
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